スバルの中村知美社長(参考画像)《写真撮影 池原照雄》

SUBARU(スバル)は5月11日、2021年3月期の連結決算をメディアとの電話会議などで発表した。コロナ禍や半導体不足による国内外の減産影響により、営業利益は前期比51.3%減の1025億円と、2期ぶりの減益になった。

今期(22年3月期)の業績予想は、半導体の供給不足やコロナ禍で不透明感はあるものの、主力の米国販売の回復などにより、営業利益は95%増の2000億円と、ほぼ倍増を見込んでいる。

前期の連結グローバル販売は17%減の86万台となった。このうち7割程度を占める米国は、14%減の61万2000台と、全体の落ち込みを下回る健闘を見せた。一方で日本は、半導体の影響による生産不足もあって19%減の10万2000台にとどまった。

販売減に伴う売上構成差等の減益影響は、営業損益段階で1284億円にのぼった。また、前期の為替レートは1ドル106円で前々期から3円の円高となり、為替変動による減益要因は204億円になった。一方で、米国でのインセンティブ(販売奨励金)を330億円削減するなど、諸経費等で713億円の増益効果を確保した。純利益は49.9%減の765億円だった。

今期の連結グローバル販売は12%増の100万台を計画している。米国は21年暦年ベースで66万台とし、21年3月期を上回るペースを見込んでいる。今期の純利益は83%増の1400億円と、営業利益同様に大幅増かつ2期ぶりの増益を予想した。売上高は17%増の3兆3000億円を見込んでいる。

電話会議でCFO(最高財務責任者)の水間克之専務執行役員は、今期見通しについて「半導体需給ひっ迫のリスクは残るものの、米国市場での販売増を中心として(利益は)20年3月期のレベルに戻したい」と、強調した。

スバルは部品共通化などから、半導体不足の影響が大きく出ており、今期のスタートである4月には全体で計画比2万5000台の減産となった。中村知美社長は、今期のリスクとなっている半導体の供給について、「回復時期は、現時点でははっきり申して分かっていない」としたうえで、「期を通じて挽回を図り、(100万台の販売計画を)何とかやり切りたい。生産については柔軟に対応できる準備を進めている」と説明した。

スバル・レガシィ(米国仕様)《photo by SUBARU》 スバル・レヴォーグ新型と中村社長《写真提供 スバル》