レクサス IS 改良新型(写真は IS300h)《写真撮影 雪岡直樹》

◆フルモデルチェンジと表現しても良い進化

これでもマイナーチェンジなの?と驚いたのがレクサス『IS』の変更だ。外装はフロントピラー(柱)と中央のピラー、フロントウインドーなど、限られた部分以外はすべて刷新した。ボディも少し拡大されて全幅は1840mmになっている。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値を含めてプラットフォームは従来と共通だが、フルモデルチェンジと表現しても良さそうだ。開発者に尋ねると「基本部分が共通だから、大幅な変更を受けてもマイナーチェンジに分類される」という。


試乗すると、操舵感、走行安定性、乗り心地が大幅に向上していた。カーブの入口でステアリングホイールを操作した時の反応は、従来型も悪くなかったが、改良後は車両が操舵角度に応じてさらに正確に向きを変える。車両との一体感も強まり、運転が楽しく感じた。

カーブを曲がっている時は、外側に位置する前輪が踏ん張り、峠道でも旋回軌跡を拡大させにくい。下り坂のカーブで、危険を避けるためにブレーキを掛けた時も、後輪がしっかりと接地して不安定な挙動に陥りにくい。

◆走行安定性と乗り心地は二律背反といわれてきたが…


ちなみに現行ISの発売当初は、グレードによって運転感覚が異なった。比較的良く曲がるグレードは、後輪の接地性が不足気味に感じられ、後輪が粘るタイプは峠道などで曲がりにくい印象があった。

欧州のライバル車と比べた時の運転感覚としては、BMW『3シリーズ』に比べると車両の反応が穏やかで、メルセデスベンツ『Cクラス』よりは軽快感が伴う。レクサスは、IS以外の車種も、このセッティングの方向性で仕上げると良い。


足まわりが正確に作動するため、走行安定性の向上と併せて、乗り心地も快適になった。以前からデコボコを通過した時の突き上げ感は抑えていたが、細かな振動を伝えやすかった。そこが改善されて、上質な印象を受ける。以前は走行安定性と乗り心地は二律背反などといわれたものだが、今は両立が可能になった。

プラットフォームやボディの解析能力も高まり、ISもスポット溶接箇所の追加、構造用接着剤などの効果的な使用により、マイナーチェンジながら走行安定性や乗り心地を着実に向上させている。最近は環境性能や自動運転への投資も増えて、各車種ともにフルモデルチェンジの周期が長期化する傾向にある。ISのような効果的なマイナーチェンジが、従来以上に大切になっている。



■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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