マイナーチェンジを受けて12月25日に発売された新型ホンダ『N-BOX』には、従来モデルに引き続き「車いす仕様車」(スロープ仕様車)が設定されている。車両後部に格納式のスロープを付けることで、車いすに人が座ったまま車内に乗り込めるようになっているほか、車イスを車内に固定して乗車可能なのが標準仕様(一般的なN-BOX)との最大の違いだ。また、車イスを安全かつスムーズに乗車/降車できるよう、電動のウインチも標準装備している。
車イス乗車に対応する軽自動車スーパーハイトワゴンのスロープ仕様はダイハツ『タント』やスズキ『スペーシア』にも設定されているが、何を隠そうN-BOXは同ジャンルでもっとも販売台数の多い人気モデル。その人気の理由はいくつかあるが、実用面で最も大きなポイントはシート格納方法にある。
車イス乗車時は後席を畳む(もしくは取り外す)必要があるが、タントやスペーシアはタンブル式に前席すぐ後ろへ後席を畳んで固定するので車イス乗車者の足元が狭くなり、畳んだシートが視覚的な圧迫感も生む。一方でN-BOXは後席を床下へ格納するため、存在が気にならず足元もライバルより広いのだ(後席取り外し時のタントを除く)。
さらにN-BOXの場合、「後席シートスライドがないことを除けば、使い勝手は普通のN-BOXと変わらない」(ホンダの担当者)という日常の実用性も自慢である。価格は162万9000円〜223万円。消費税が非課税扱いとなることもあり、上級グレードなどは標準タイプの同グレードに対し12万円ほどの追加負担で選べるのも、この類のクルマを購入しようとしている人にとっては朗報だ。
グレードバリエーションは標準タイプのN-BOXに比べると少ないが、とはいえ標準車で4グレード、カスタムでも2グレードの合計6グレードを用意。さらに、ライバルには設定のない4WDを選べるのも大きなアドバンテージといっていいだろう。
そんなN-BOXの車イス仕様車も当然ながら、標準仕様に準じた改良が施され、エクステリアをリフレッシュしたほか安全装備がバージョンアップ。そのうえで、独自の進化として従来モデルにはなかった後席背面の保護ボードが追加されている。これは車イス乗車を繰り返し行うことでシート背面に張った素材がダメージを負うのを防ぐ工夫だ。
【ホンダ N-BOX 改良新型】車いす仕様車はシート格納方法と日常での実用性がポイント
2021年01月03日(日) 16時30分
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