マツダMX-30と丸本明社長(2019年10月)《写真撮影 池原照雄》

マツダが11月9日に電話会議で発表した2021年3月期の第2四半期(4〜9月期)連結決算は、コロナ禍の影響で営業損益が529億円の赤字(前年同期は258億円の黒字)となった。ただ、米国販売の回復など、7〜9月期は想定を上回る改善としている。

通期の業績予想は感染拡大影響など不透明さが続くため、従来の数値を据え置いた。第2四半期のグローバル販売は21%減の57万8000台だった。主力の米国は1%減の13万6000台で、『CX-30』の投入や販売網の強化策などにより堅調な回復を見せた。また、販売活動の復帰が早かった中国は、7%増の11万7000台と唯一増加した国となった。日本は25%減の7万4000台だった。

営業利益段階での増減益要因は、出荷台数や部品販売の減少による影響が1336億円に及んだ。為替は1ドル107円で2円の円高になり、通貨全体の減益影響は39億円だった。一方で販売促進費の抑制や初期品質向上による関連費用の低減など固定費・その他で494億円の改善を達成した。売上高は35%減の1兆1158億円、純損益は930億円の欠損となった。操業停止による生産ロスとして205億円を特別損失に計上している。

通期業績予想は、下期に黒字に転じるものの営業損益が400億円の赤字(前期は436億円の黒字)、純損益は900億円の欠損(前期は121億円の黒字)という数値を据え置いた。グローバル販売計画は、米国を上方修正する一方、中国を下方修正し、前期比8%減の130万台の計画を維持した。

電話会議で財務担当の藤本哲也常務執行役員は、第2四半期業績について「7〜9月期は米国などの販売機会を着実に取り込むとともに固定費の削減なども進め、業績は想定以上に回復できた」と評価した。

一方、咋年11月に公表してい19年度から24年度まで6か年の中期計画については、丸本明社長が最終年度を25年度として改定した新計画を公表した。コロナ禍を受けた見直しだが、売上高約4兆5000億円、売上高営業利益率5%以上、グローバル販売台数約180万台といった指標は据え置き、「1年遅らせての達成をめざしていく」(丸本社長)方針だ。

新中計では、トヨタ自動車との協業を強化し、今後、欧州で『ヤリス』のハイブリッド車(HV)のOEM調達を始めるなど、同社からのHV技術導入を加速させる。また、新たに損益分岐点台数を連結出荷ベースで約100万台という目標も設定した。この台数は赤字になる今期見通しと同じであり、丸本社長は「この100万台でも黒字化できる体質をめざす」と強調した。

マツダ 丸本明社長(参考画像)《写真提供 マツダ》 マツダCX-30《写真撮影 中野英幸》