マツダ 丸本明 社長《写真撮影 小松哲也》

マツダの丸本明社長は11月9日に電話会議を通じて行った決算説明会で、現在取り組んでいる中期経営計画の最終年度を1年先送りする一方で、成長投資は維持し、「この先2年間でラージ商品群への投資を進める」との方針を強調した。

丸本社長は「中期経営方針を維持した上でコロナ禍を受け、最終年度の売上高、利益目標を変更せず、最終年度を1年遅らせ2026年3月期に変更する」と表明。

その一方で「成長投資を効率化しながら維持するとともに、CASEへの対応を協業の強化と独自価値への投資で進めていくことに変わりはない」とし、「この先2年間でラージ商品のアーキテクチャー、ユニット、環境技術の開発を終え、商品導入を開始する。その後は新しい価値創造開発へシフトしていくことが重要だと認識している」と述べた。

今後2年間の具体的な投資案件について丸本社長は「新世代商品で開発した新しいハードウエアを既存商品へ展開する一例として、マツダコネクト2を『CX-5』、『CX-8』、『CX-9』に導入する。また制御技術による商品改良の事例としてSKYACTIV-XとSKYACTIV-Dの商品力を向上させたり、(安全制御機能の)i-ACTIVSENSEをアップグレードする取り組みを進めていく」と説明。

ラージ商品群に関しては「高出力化と世界各地の低CO2要求を両立させるプラグインハイブリッドを含む電動化技術を含んだラージ系ハードウエアの骨格開発を進めている。効率的な開発力をさらに強化し、高い競争力を有する骨格を開発しているところ。また独自技術であるロータリーエンジンを使ったマルチ電動化技術の開発を進めており、2022年以降順次市場に導入していく」と述べた。

2022年以降の取り組みでは「その後は本格的に始まるCASE時代の新しい価値の創造に向け、投資を終えるハードウエアを生かし、制御技術で継続的に商品の価値を向上させ、新しい価値を創造する統合制御開発プロセス、エレキプラットフォーム、新たな仲間づくりへとシフトしていく。またハードウエアと制御技術の結集である次世代向けのEV専用プラットフォームの開発にも着手する」とのロードマップを示した。

このうち仲間づくり、協業に関しては「これまでトヨタ自動車と協業領域を広げ、進めてきた。先進技術、販売金融、合弁工場、商品補完など良い関係を継続させて頂いている。今後も環境対規制対応の協業を合意し推進している」ことを明らかにした。

新たな合意内容として、アメリカのトヨタとの合弁工場で生産する新型SUVにトヨタのハイブリッドシステムを搭載して販売するほか、中国でもトヨタのハイブリッドシステムを搭載したモデルを導入、さらにヨーロッパでは『ヤリス』のハイブリッド車をベースにしたモデルのOEM調達することが、今回公表された。

その上で丸本社長は「技術、ユニット、商品、インフラ等の受供給により、資源を独自技術や商品へ集中させていく」と話していた。

マツダ決算説明会《資料提供 マツダ》 マツダ決算説明会《資料提供 マツダ》 マツダ決算説明会《資料提供 マツダ》 マツダ決算説明会《資料提供 マツダ》