ホンダ オデッセイ 改良新型《撮影 中野英幸》

ホンダ独創の超低床プラットフォームを採用し、低全高ながらゆったりとした3列シート空間を持つアッパーミドルミニバン『オデッセイ』。現行の5代目は2013年登場のロングセラーモデルだが、今回のマイナーチェンジでデザインから見違えるように刷新され、装備や使い勝手も大きく進化した。

◆コンビメーターとナビがより見やすく

まずは、インテリアの進化について。ドライバーはもちろん、全ての乗員が目にしやすいところ、ということで新しい金型を起こして一新したのがインパネだ。運転する時にインパネ周りがガチャガチャしていると情報が入りすぎて疲れてしまうことや、ほかの乗員にもリラックスして過ごせるようにと、全体的になるべくシンプルなデザインを採用したという。

ただし、コンビメーター、ナビの大物2つの部品は、しっかりアップデート。まずメーターは、長年使っていた一眼メーターではなく、二眼のうち左側を7インチのTFTとするデザインに変更した。すっきりとモダンになったのはもちろん、スイッチで切り替えることで、欲しい情報がすぐ得られるようになっている。そしてこだわったのが搭載する位置。近すぎても遠すぎてもダメということで、最も見やすい位置を考慮し、見やすいだけでなく、”見る楽しみがあるメーター”を目指したという。



そしてナビは、まだまだ他社も含めて画面拡大の波が続いている中、純正で7〜9インチでは競争力が弱いということで、今回は新たに10インチモニターをインパネの一等地に採用。ただ、圧迫感を与えたり、視界の邪魔をしないように配慮している。ディスプレイオーディオの設定はないが、それについて開発責任者の長 毅氏は「オデッセイは95%以上のお客様がオプションのナビを購入していただいており、その状況が何年も続いていることから、ラインナップを煩雑にするよりも、わかりやすく一本化する方向にしました」と語る。

◆収納力や静粛性をアップ

さらに、「お客様の声に耳を傾ける中で、収納力が足らないという声が多く聞かれました。そこで今回、インパネを新しくするのであれば、シンプルな中にも使いやすく豊富な収納をつけられないかと工夫を凝らしました」と長氏。“欲しいところにあって直感的に使いこなせる収納スペース”をテーマに、インパネアッパーボックスやリッド付きのセンターコンソールボックスをはじめ、使わない時にはすっきりと隠せる収納を豊富に用意している。とくに、位置が低くて使いにくいとの声があったカップホルダーは、手の届きやすい高さに移設するとともに、運転席側を収納式にして見た目にもアップグレードさせた。



そして、一見するとわからないが、シート素材は子供が飲み物をこぼしたりしても、サッと拭き取れるように撥水撥油加工に改良。長氏は「こうした改良は派手な変化ではありませんが、使っていただければ、必ず良さを実感していただける進化だと自負しています」と自信をにじませた。

このほか、目に見えないところの進化といえば、静粛性もかなり磨き上げているという。音の発生原因から対策をしていくことを開発の念頭におき、まずタイヤを変更。ホイールもレゾネーター付きを採用し、首都高の路面の継ぎ目のようなシーンでも、タイヤが跳ねるようなポンポンという音が抑えられている。



また乗員の耳に近いところということで、フロントのドアガラスとスライドドアのガラスの遮音性を高め、3列目シートに対しても、頭に近いテールゲートのガラスの板厚を上げて対応。これにより、トラックの横を通過する、雨の日や強風の日といった悪条件下でも室内の快適性が大幅にアップしているという。従来から走りと燃費の良さには定評のあるオデッセイだけに、今回はそれをキープしつつ、ノイズバイブレーションなどを改善して上質感を高めていくことを使命としたとのことだった。

◆便利で楽しい新機能「ジェスチャーコントロール・パワースライドドア」

一方で、瞬間的に「すごい!」と驚かされる進化ももちろんある。それが、光の演出とジェスチャー操作で自動開閉する「ジェスチャーコントロール・パワースライドドア」。LEDが点灯することによってジェスチャー操作のガイドをしつつ、静電技術で操作を感知するという国内初の技術となっている(ホンダ調べ)。

自分がキーを所持しているか、近くに置いてある時に閉じているスライドドアに近づくと、ブルーのLEDが光ってウェルカムライトとしてお出迎え。そして光に手をかざすと、シグネチャーターンライトのようにブルーのLEDが流れるように点灯する。手をかざしたまま光と同じ方向に動かすと、スライドドアが自動で開く仕組みだ。この時、手はドアから1.5cm程度離れていることが条件で、途中で離れすぎてしまったり、ドアに触れてしまうと動作は中止されてしまう。最初のうちはそれで失敗することもあったが、何度か試すうちに100発100中で開くようになり、何よりLEDが流星みたいにきれいで、ジェスチャー操作も楽しい。子供がいたら、すすんで「やりたい」と喜びそうだと感じた。

さらに便利なのが、ジェスチャー操作でスライドドアの開閉がスタートしても、途中で止めたい時にはLEDの光にタッチすればその場で止めることができる。その後、開けたければ後方に向かって、閉めたければ前方に向かって再び手をかざせば、好きな方にドアを動かせる。従来のパワースライドドアだと、例えば雨の日に必要十分な隙間だけ開けて乗り込み、その後すぐに閉めたいと思っても、スイッチを押すと必ず全開になってしまうものが多かった。でもこのジェスチャーコントロール・パワースライドドアなら、好きな幅だけ開けて、すぐに閉じることも可能だ。



そしてもう1つ、要望が多かったという「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」をEXタイプに採用。キックセンサーを取り入れて、バンパー下に足を出し入れするだけでテールゲートの開閉ができるようになった。さまざまなキックモーションに対応できるよう、感知センサーの検知条件を見直したり、テールゲートが開く高さの設定も可能となり、天井の低い駐車場などでも安心して開閉できるようになっている。



また、ホンダ初採用となったのが、パワースライドドアが閉まり切るのを待たずに、ドアクローズ後の施錠ができる、標準装備の「予約ロック」。無駄な待ち時間をなくすことで、忙しい子育て世代のストレスや荒天時の不便さも解消している。

◆サイドリフトアップシートをアブソルートにも設定

もちろん、先進安全運転支援技術の「ホンダセンシング(Honda SENSING)」は全車標準装備で、後方誤発進抑制機構を追加するなどさらに手厚い安心感をプラス。介護シーンでは、リモコン操作でシートが車外にせり出し、路面近くまで下がって乗り降りをサポートする、サイドリフトアップシートが新たにアブソルートに設定された。実際に試してみると、動作中に身体が前のめりになって怖い思いをしないよう、背もたれが絶妙な角度になりつつ、なめらかで安定した回転と昇降に感心。ここまで低い位置に下がってくれるのは、ホンダの低床プラットフォームならではだ。



こうして、乗り降りから室内で過ごす時間、安心・安全にいたるまで、乗る人みんなの快適性をあらゆる方位から磨いてきたと感じる、新しいオデッセイ。その進化の一つひとつには、長い歴史があり多くのファンを持つミニバンだからこそできる、優しさとサプライズが込められていると言えそうだ。

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