ボッシュの燃料電池パワートレイン《photo by Bosch》

ボッシュ(Bosch)は9月2日、2022〜2023年から、トラック向け燃料電池パワートレインの生産を開始する計画を発表した。

ボッシュによると、バッテリーの重量、長い充電時間、現在の技術による航続の制約などを考慮すると、電動パワートレインは大型トラックには、まだ最良の選択肢とはいえないという。しかし近い将来、ボッシュの燃料電池パワートレインが、40トントラックで1000km以上の航続を可能にする。燃料電池パワートレインは、再生可能エネルギーを用いて生成された水素を動力に、クライメートニュートラルな輸送を実現する。

水素は高いエネルギー密度を持つ。1kgの水素は、3.3リットルのディーゼル燃料に匹敵するエネルギーがある。100km走行するために必要な水素は、乗用車なら約1kg、40トントラックでも約7kgだ。ディーゼル車やガソリン車と同様に、わずか数分で水素タンクが充填され、走行を続けることができる。

パワートレインの環境保全性と収益性を考えるうえで、決定的な要因のひとつとなるのが効率性だ。内燃機関搭載車よりも燃料電池車のほうが、効率が約25%向上する。回生ブレーキを使用すると、効率性はさらに高まる。電気を直接車両に蓄え、推進力として利用できるEVは、さらに高効率という。

しかし、エネルギーの需要と生産は必ずしも時間と場所が一致しないことから、風力や太陽光発電所で生成された電気は提供先が見つからず、貯蔵もできず、利用されずに終わってしまうことも少なくない。ここで、水素が本領を発揮するという。余剰電力を利用して水素を分散的に生成し、柔軟に貯蔵・運搬できるためだ。

ボッシュは2022〜2023年から、トラック向け燃料電池パワートレインの生産を開始する計画を発表した。ボッシュは、毎日重い荷物を長距離輸送するなら、燃料電池が第1の選択肢になる、としている。

ボッシュの燃料電池スタック《photo by Bosch》 ボッシュの燃料電池社会のイメージ《photo by Bosch》