F1ベルギーGP併催のF2今季第7戦、レース1の表彰式(中央が優勝の角田裕毅)。《写真提供 Honda》

今季、自身初参戦のFIA-F2選手権で躍進を見せている日本の20歳、角田裕毅(つのだ ゆうき)が第7戦スパ・フランコルシャンでも光るところを見せた。予選順位直結のスターティンググリッドから争われるレース1でポール・トゥ・ウイン、シリーズランキングを3位に上げている。

F1併催が原則の登竜門シリーズ、FIA-F2選手権。第7戦はベルギーGPの併催(8月28〜30日)だが、難コースのスパで角田裕毅(#7 Carlin)が“魅せた”。予選では今季2度目となるポールポジションを獲得。そして予選結果をベースにスターティンググリッドが組まれるレース1で優勝を飾ったのである。レース2(グリッドはレース1の決勝上位8台をリバースしたかたち)での優勝経験は既にあった角田だが、レース1制覇は初。

レース1決勝、ピットストップのアヤで(実質の)首位から下がる展開となった角田は終盤、トップのN.マゼピン(#24 HITECH GRAND PRIX)を追い詰め、激しいバトルを演じる。2番手でのチェッカーにはなったが、ゴール後のクールダウンラップ中にマゼピンに“ラフファイト行為”による5秒加算ペナルティが宣告され、優勝は角田のものに。

繰り上がり優勝とはいえ、角田はパルクフェルメの1位のボックスにマシンを停める栄誉を得たうえで勝利した。今季2勝目、3位以内のレースリザルトはこれで4回目だ。

#7 角田裕毅のコメント(レース1終了後)
「一度はブレーキングで(マゼピンの)前に出ましたが、その後スペースがなくなるくらい(相手に)寄せられて、(一時的に)コースオフしてしまいました。それで相手がペナルティとなり、それは納得のいく結果ですけど、完全に抜き切れなかったのは反省点です。優勝という結果は良かったですが、抜いてトップを奪えなかったという点で、完全に嬉しいとは言えない部分もあります」

角田のシリーズランキングは、レース1終了時点で3位に上昇、首位のC.アイロット(#4 UNI-VIRTUOSI RACING)に11点差と迫った(122対111)。レース2では得点できなかったが、アイロットも無得点。ただ、レース1終了時ランク2位に位置していたR.シュワルツマン(#21 PREMA RACING)がレース2で優勝し、132点でシリーズリーダーとなった。

よってスパ戦終了時点ではランク首位がシュワルツマン、2位にアイロット、3位に角田となっており、シュワルツマンと角田の差は21点(得点基準はポール獲得が4点、レース1優勝25点、レース2優勝15点、など)。

ホンダ、そしてレッドブルの若手育成プログラムに名を連ねる角田だけに、F1への期待も高まってきている。

F1参戦に必要な“免許証”、スーパーライセンス(SL)の取得に関しては世界中の様々なシリーズでの成績をポイント化して過去3年分で審査する制度があるが、F2でシリーズ3位に入れば“一発合格”、角田の場合は過去の持ち点の関係でシリーズ4位ならポイントクリアと伝えられる(SL制度は複雑かつ変転も激しいので、なかなか断定的には言えないが)。

もちろんSLが取得できればF1に参戦できるわけではない。ただ、ひとつの目安になるのも事実。そしてレッドブル・ホンダの系列チームであるアルファタウリ・ホンダからのF1テスト出走が現実味を帯びてきた、などの報道も最近は見られる。

日本人選手のF1実戦参戦は2014年の小林可夢偉が最後(2019年日本GPでの山本尚貴は金曜フリー走行1回目への出走で、予選〜決勝には出ていない)。日本人F1ドライバー久々の復活を論じるのはいささか気が早いが、今季のF2での活躍は確実にムード醸成につながっている。角田にはシリーズ4位や3位と言わず、チャンピオンを狙ってほしいところだ。

F2第7戦スパ・フランコルシャンのレース1で優勝した角田裕毅。《写真提供 Honda》 F2第7戦スパ・フランコルシャンのレース1で優勝した角田裕毅。《写真提供 Red Bull》 #7 角田裕毅《写真提供 Honda》 #7 角田裕毅《写真提供 Red Bull》 躍進を続ける角田裕毅(この写真は今季F2第6戦バルセロナ)《写真提供 Red Bull》