スバル レヴォーグ 新型《写真 中野英幸》

新型スバル『レヴォーグ』のデザインで大きく変わったのは、エクステリアよりもむしろインテリアだと思う人は多いだろう。インパネ中央に11.6インチという大型の縦長インフォメーションディスプレイが備わっているからである。

◆スマホのように扱えることを目指したインフォメーションディスプレイ

テスラやボルボを思わせるこのディスプレイ、実は北米で先行発売した新型『レガシィ』に搭載しているものと基本的に同じだ。しかしデザインを担当した中村真一氏(商品企画本部 デザイン部 主査)によると、当初はレヴォーグへの採用予定はなかったという。

「レガシィに比べると全幅が狭いので、デザイナーにとってはリスクの大きい仕事でした。スバルのインテリアはこれまで、水平基調で圧迫感を出さない方向でデザインしてきました。そのフィロソフィを守れるかどうか不安だったのです。室内設計を工夫して前席間を20mm拡大し(全幅拡大は15mm)、ギリギリで収めることができました。ディスプレイが主張しすぎないような工夫も込めました」。

たとえばセンターコンソールを旧型より高くしたのは、囲まれ感をアップする意味もあるが、ディスプレイのボリュームを小さく見せるテクニックでもあるという。角度についても、見やすさと操作のしやすさを両立するために、ミリ単位で調整していったとのことだ。

ディスプレイに並ぶアイコンはスマートフォンよりはるかに大きく、色分けもしてあって操作しやすかった。設計担当者もスマホのように扱えることを目指したという。

縦長にした理由としては、ナビの進行方向を広く表示してくれることを挙げていた。両脇の操作系はあえてダイヤル式とすることで、瞬間的な操作を安全に行えるよう心がけた。独自の安全哲学が伝わってくるエピソードだ。

◆運転中の視認性を考慮したフル液晶メーター

メーターはアイサイトX装備車では12.3インチのフル液晶となる。こちらは新型レガシィも使っていないスバル初の装備だ。慣れ親しんだアナログメーターを表示するノーマルモード、中央に自車や他車の状況を表示するアイサイトモード、ナビの地図を大きく映し出すマップモードの3つを切り替えできる。

「もっと多彩な表示も可能ですし、先進的な演出もできますが、ユーザーが戸惑うので3種類に絞り込み、たとえば地図を出すモードでも速度計などの情報が瞬時に読み取れることに配慮しました。静的な視認性と動的な視認性は違いますから」。

たしかにマップモードでも、左右の下半分はブラックアウトされ、そこに速度計など重要な情報を絞り込んで表示するので、安心してドライブできる。視界の確保にも通じる安全第一の思想が伝わってきた。

◆ホイールベースの延長によって得られた後席のゆとり

インテリアカラーはSTIスポーツがボルドー基調、標準車はブラック基調となる。これは従来と同じだが、STIスポーツはボルドーの面積が減り、色調が落ち着いた一方でインパネなどにステッチを入れており、上質感が高まっていた。標準車もグレードによってステッチをブルーとシルバーで使い分けるなどのこだわりが見受けられる。

全幅の拡大を15mmに抑えた一方で、新型レヴォーグは全長が65mm伸びて4755mmになっている。このうち20mmはホイールベースの延長でもあり、前後席間の間隔は25mm長くなった。実際に後席に座ってみても、少しゆとりが増えていると感じた。

後席の背もたれは旧型のマイナーチェンジで導入した4:2:4の3分割を継承。荷室は奥行こそ1070mmのままだが、タイヤハウス間の幅は20mmアップして1100mmとなった。印象に残ったのは床下収納スペースが格段に広くなったこと。数字のうえでも40リットルから69リットルに増えている。その結果トータルでの容積は561リットルと、旧型と比べて39リットル拡大した。

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