フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《写真提供 FCAジャパン》

“新キャラ”の登場。2015年10月の導入以来スモールSUVとしてやってきた『500X』だが、新しく追加設定された“Sport”は、とても素直にその名のごとくスポーティな走りが楽しめるクルマに仕上げられていた。

◆500Sの4ドアバージョンのような佇まい

外観は、専用バンパーを始め、ボディ色のホイールアーチモール、サイドシルなどが目を惹く。さらにシリーズ最大サイズの19インチアルミホイールと225/40R19タイヤを装着。これらにより、全高などが変わらないにも関わらず、グッと路面を掴むかのような安定感のあるスタンスが印象的で、「もはやSUVというより、スポーティなオリジナルの『500S』の4ドアバージョンか!?」と思わせられる佇まいが目新しい。


インテリアはブラックレザーのシートが備わる程度で、見慣れた『500X』の空間となっている。フィアット(やアルファロメオ)というと、カタログにも謳われないうちに装備や部品が“いつの間にか仕様変更”されていることが以前はよくあったが、サッと見渡した限り、試乗車ではそういうことはなさそうだ。

7インチタッチパネルモニター付きUconnectは、Bluetoothハンズフリー通話機能や、Apple CarPlay、Android Autoに対応。Siri、Googleアシスタントも利用可能だ。



◆フィアットらしさの奥行きが増した走り

そして走り。小数点2位以下を四捨五入すると1.3リットルとなる最新エンジンは、初期モデルの1.4リットルに対しパワーが+11psの151psに、トルクが+4kgmの27.5kgmのスペックを持つ。トランスミッションは従来と同じギヤ比の6速で、デュアルクラッチもこれまでどおりだ。

が、実際に走らせてみると、スペック自体の向上分以上に高回転まで気持ちよく回る回転フィールは、ターボとはいえ、とても1440kgの車重を1.3リットルで走らせているとは思えないもので、そんな快活さが嬉しい。


さらに専用チューンという足回りにも好感が持てる。今回は箱根の山道での試乗だったが、ちょいスポ(=ちょっとスポーティの意味)に仕上がったフィアット車独特の、軽快ながらしっとりとしたタッチが味わえる。もちろんコーナリング中も外輪をジワッと沈め安定したフォームで破綻がない。

初期モデルがプラットフォームを同じくするジープ『レネゲード』に対しサラッとしたフィアットらしい走りの味を出していたが、その奥行きが増したといえばいいか。白状するとあまり高い期待値を抱かず試乗に臨んだのだが、乗り味、動力性能、それと雰囲気など、クルマ全体のまとめかたが想像以上に上手いと思えた。

19インチタイヤながら、低速から乗り心地がいい点も「いいね!」である。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《写真提供 FCAジャパン》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《撮影 島崎七生人》 フィアット 500X Sport(500Xスポーツ)《写真提供 FCAジャパン》