ハスクバーナ ヴィットピレン401&スヴァルトピレン401《写真撮影 雪岡直樹》

80年代から90年代初頭あたりまで我が国のバイク人気は凄まじく、各メーカーが競ってニューモデルを市場に投入していた。

日本独自の免許制度によるものか、日本市場に向けたミドルクラスはとくに人気で、車検制度のない250ccクラスはことさら激戦区に。しかし、その後は景気の悪い時代が到来した影響か、とくに国産ミドルクラスのラインナップが激減していた。

◆オリジナリティ溢れる新生ハスクバーナのロードモデル


しかしここにきて、とくに東南アジアでのマーケットの拡大によるものだろうか、様々なメーカーがこのクラス向けのマシンをリリースしている。それは過去のディープでマニアックなマシン達とは異なるものの、そこそこリーズナブルかつ取っ付きやすいマシンも増えている。そんな中。ハスクバーナのラインナップするロードモデルが人気となっている。

ハスクバーナはスウェーデン生まれのモーターサイクルカンパニー。そこから派生したハスクバーナ・モーターサイクルズは、かつてはオフロードシーンでその名をとどろかせていた。しかし、小規模なモーターサイクルカンパニーの宿命か、経営破綻に追い込まれ、MVアグスタやBMWなどに買収されてきた経緯がある。

2013年には、かつてはライバルでもあったKTMの傘下に入ることとなったのであるが、それが功を奏したようで、ここ数年で過去最大の勢いを有するブランドとなって完全復活を遂げたのだ。

現在、オフロードモデルは様々な選手権の最前線で活躍。一方、オンロードマシンは既存のモーターサイクルとは異なる、新たなイメージ戦略に乗り出しているといった状況である。実績のあるKTMのDUKEシリーズのプラットフォームを用いることで、パフォーマンス面での不安を一蹴。その上でオリジナリティ溢れるロードスポーツモデルをリリースしている。

ヴィットピレンとスヴァルトピレンは上級モデルに701を。そして中型クラスに401をラインナップしているが今回、スヴァルトピレンに我が国待望の250が加わった。

◆401よりも取っつき易いパッケージング『スヴァルトピレン250』


401シリーズと基本的に共通の車体を用いる250。400ccクラスベースと思われがちであるが、もともとより小さな排気量のマシンに、400ccのエンジンを搭載したというのが生い立ちである。コンパクトな車格に十分パワフルなエンジンは、なんでも出来てしまいそうな雰囲気である。401と異なりホイールがキャストタイプとなり、タイヤもオンロード寄りのものを採用。さらに取っつき易いパッケージングとなっている。

シート高はやや高めであるが、ハンドルはアップライトでフレンドリーな設定。スヴァルトピレンはフラットトラックマシンをイメージしたデザインとのことであるが、既存のイメージにとらわれることなく、全く新しい世界観を構築していることが新鮮だ。


おしゃれなスタイリングとともに、しっかりスポーツマインドを感じさせるダイレクト感がこのマシンの魅力である。高回転型のエンジンではあるが、さほど回転を上げなくともトコトコと軽い車体を前に押し進める。中速域からはパワー感がさらに増していき、高回転域まで淀みなく回っていく感覚がスポーツマインドを刺激する。

エンジンパワーに対し車体はオーバースペックと感じさせるもので、グイグイ攻め立てても破綻するような兆候はない。もっとパワーが!と思う場面もありつつ、だからこそ使い切った感を得やすい面も。スタイリング重視と思われがちであるが、ベースに実績のあるマシンを使ったことでうまくバランスが取られているのだ。



◆多くのシチュエーションで+αの余裕『スヴァルトピレン401』


また、従来より販売される兄貴分となる401シリーズは2020年モデルでフロントフォークのアジャスト機構を追加。シートレールを40mm延長し、タンデムスペースの快適化も向上させたという。

まず、250の兄弟車であるスヴァルトピレンであるが、タイヤが250とは異なり、ブロックタイプのピレリ製スコーピオントレイルSTRを装着。それによるハンドリングの穏やかさがまた違った個性を感じさせるが、グリップ力は十分でワインディングでも不安感は全くない。基本的には高回転に向けてのパワフルさが魅力のエンジンキャラクターと言えるが、373ccとなる排気量の恩恵で低中回転域でのトルク不足も感じさせない。多くのシチュエーションでプラスαの余裕を持っているのだ。


ハンドル切れ角が想像よりも少ないため、予想よりも小回りが効かないのがキャラクターを考えると少し残念だが、すばしっこく街を駆け抜けたかと思えば、ツーリングやワインディングでも実力を発揮。幅広いシチュエーションで楽しめるマシンとなっている。

◆スピードが上がれば一体感が強まる『ヴィットピレン401』


一方、カフェレーサー然としたヴィットピレン401は基本的に同じ車体を使用しつつ、多くの外装パーツはオリジナルを採用する拘りを持つ。低めのハンドルを採用したことで前掲がやや強めなライディングポジションになるが、乗り味まで大きく異なっているのが面白い。

ストップ&ゴーの多い街中ではそのライディングポジションによる取り回しの億劫さを感じないわけではないものの、スピードが増してくると一体感が強まり、マシンの軽快さを引き出しやすくなってくる。いい意味でややクラシカルなマシンを操っているかのようなクイック過ぎないハンドリングが懐かしさも感じさせつつ、多くのライダーにとっては新鮮に感じられるではなかろうか。


しっかり高回転まで回し切ってスポーティに走れるポテンシャルもありつつ、中速域を使って車体を動かしていく感触が面白い。強いオリジナリティを感じさせながら、走りの本質はぶらさないというのがハスク流か。また、このクラスでありながら、スリッパークラッチやコーナーリングABS等を装備する姿勢も評価できる。

ハスクバーナの作りの巧みさを感じさせるマシン達となっている。


鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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