軽自動車でも天候や路面に左右されない、クロスオーバーモデル《写真 青山尚暉》

◆愛犬のため、クロスオーバー軽にするという選択

モータージャーナリスト、ドッグライフプロデューサーとして活動し、家族の一員として犬たちと暮らしているボクの座右の銘が、「犬の寿命は人間よりずっと短く、その犬生の間にできるだけ多くの愛犬との思い出を作ってあげることが、飼い主の使命」である。



例えば、小中型犬なら犬年齢×6、大型犬であれば犬年齢×7が、人間に当てはめたときの年齢だという。小型犬の8歳は48歳の壮年、大型犬の10歳はもう70歳ぐらいということになる。

そして、愛犬がもっとも幸せに感じる時間は、飼い主家族との、宿泊を伴うドライブ旅行だと思っている。いつもお留守番(犬にとって5時間の留守番は30〜35時間?)ばかりさせられている犬も、愛犬同伴型リゾートホテルに泊まり、道中、愛犬同伴可能なカフェやレストランを利用すれば、24時間ずっと家族一緒にいられるのだ。




そうした、愛犬とのドライブ旅行の機会は多ければ多いほど、家族も犬も幸せになれ、たくさんの思い出を作ることができるのだが、日本は四季があり、雨も多い。せっかく、ドライブ旅行を計画したのに、天候、降雪などの路面状況のせいでキャンセルするとなれば、家族も、愛犬もがっかりである。飼い主の行動に敏感な犬は、ドライブ旅行の前日、飼い主が荷物をパッキングしているのを見れば、「おおっ、明日は楽しいドライブ旅行わん!!」と気づいたりするものなのである。



では、愛犬とドライブをするのにふさわしい、天候、路面に左右されにくいオールラウンダーなクルマと言えば? やはり世界的にブレークしているSUV、クロスオーバーSUVになるだろう。ただし、本格的なSUV、クロスオーバーSUVはサイズも大きく、もちろん高価。予算少々で、悪路や雪道にも強い、オールラウンダーなクルマはないかと言えば、そうでもない。



◆高い走行性能で快適なドライブ:スズキ ハスラー

その筆頭は、スズキ『ハスラー』だろう。ワゴン×SUVというコンセプトで登場したハスラーの2代目となる新型は、一段とSUVテイスト、タフネスさを強めているのが特徴だ。ホイールベースを35mm伸ばしたほぼすべてのスペースを後席にあてることで、先代比約+35mmの、身長172cmのドライバー&乗員基準なら、大型セダンをしのぐ約30cmもの、ゆったりと足が組めるほどの膝周りスペースが確保されている。






前後席のシートのかけ心地は、人にも犬にとっても素晴らしく、軽自動車らしからぬ快適感を実現している。後席は16cmのスライド量を持ち、後席膝周りスペースと荷室の奥行のバランスは自由自在。後席を、人が文句なく座れる前端位置にすれば、荷室の奥行は44.5cmに達し、宿泊を伴う荷物も積載可能だ。




しかも、5:5分割可倒式の後席を片側、または両側をフラットに格納すれば、奥行は大型犬でもゆったりできる、大型ステーションワゴンの荷室奥行に匹敵する、最大約113cmに達するのである(後席片側格納時の幅は約55cm)。荷室床下には、しっかりとした樹脂製の脱着可能な収納ボックスもあるから、愛犬用品の置き場にも、困らない。

新型ハスラーの走行性能は、軽自動車の概念を覆すレベル。ターボモデルなら、1.3リットル級の加速性能、ゆとりがあり、乗り心地はしっとり重厚。高いボディ剛性や、専用開発された乗り心地重視のスペシャルタイヤによって、素晴らしく快適な乗り心地を味わせてくれるほどだ。実際、東京~軽井沢間を往復しても、まるでより大きいクルマで移動しているかのようで、ACC(アダプティブクルーズコントロール)のおかげもあって、人も犬も、疲労度最小限。これほどロングドライブに適した軽自動車は、なかなかない。



しかも、悪天候、荒れた路面、雪道に強いのが、ハスラーだ。そもそも、雪国のユーザーの要望で登場したのが、初代ハスラーなのである。ターボ×4WDを選択すれば、本格SUVに匹敵する最低地上高180mmと合わせ、滑りやすい路面でのスリップを防止してくれるグリップコントロール、急な下り坂も安心して走れるヒルディセントコントロール、新たに加わったスノーモードを備え、もう万全。天候や路面によって、愛犬とのドライブ旅行をあきらめずに済むというわけだ。



ちなみに、避暑地の高原で、愛犬とちょっとお昼寝…というシチュエーションにも対応(車中泊もOK)。前席まで倒すことで、最大204cmものベッドスペースが出現。愛犬と一緒にまどろむ幸せいっぱいの時間を過ごすことができる。



◆オールマイティに使える“青空SUV”:ダイハツ タフト

そんなハスラーのライバルとして登場した、ワイルドなルックスが頼もしいダイハツ『タフト』も、アウトドアや愛犬とのドライブ旅行にぴったりのクロスオーバー軽と言える。荷室フロアなどがワイパブル、つまり汚れに強い素材であるのはハスラー同様だが、何しろ、現時点でハスラーにないガラスルーフのパノラミックな解放感が、愛犬とのドライブ旅行を一段と爽快かつ心地よいものにしてくれるはず。





最低地上高はハスラーをしのぐ190mmに設定され、もちろん、ロングドライブにより適したターボ×4WDも用意。悪天候、悪路、雪道に強いことはもちろんだ。

また、後席を倒せば、完全フラットスタイルかつワイパブルフロアの拡大荷室スペースが出現し、大型犬の乗車や大型ケージの固定もバッチリだろう。なおかつ、荷室のフレキシブルボードのアレンジによって、荷室の高さ方向を自在に変えられ、背の高い、愛犬用カートなども立てたまましっかり収納可能。まさに、愛犬家が1年中、愛犬とのドライブ旅行に、オールマイティに使える“青空SUV”というわけだ。





これまで、愛犬のために、オールラウンダーなSUVを手に入れたくても、サイズや価格などでハードルが高く、あきらめていた愛犬家も、扱いやすさ抜群の軽自動車のサイズにして、使い勝手、大型犬を含む愛犬の乗車性に優れ、なおかつタフなオールロード性能を持つハスラーやタフトなら、大満足必至。ファーストカーならターボ、愛犬専用!? のセカンドカーであればNAでも十分。大型SUVの価格との差額を、愛犬とのドライブ旅行の費用に回し、楽しみ尽くす…というのもいいではないか。

どちらも純正アクセサリーとしてアウトドア&車中泊用品も豊富に揃っているから、愛犬との楽しみは尽きないだろう。軽自動車でも、ハスラーやタフトといったクロスオーバーモデルを選択すれば、天候や路面に左右されない”わんダフルな”カーライフを過ごせるということである。




青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、ラジオ番組の出演、イベントも手がけ、愛犬との安心快適な自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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