キックスのプロパイロットは、単眼カメラとミリ波レーダーのセンサーフュージョンとなった《画像提供 日産自動車》

日本国内に限れば、日産として10年ぶりとなる新車種としてデビューした日産『キックス』。ラインナップはe-POWERを搭載したワングレードのみで、日本仕様はすべてがタイからの輸入となる。その日本市場向けに搭載された安全装備が「プロパイロット」など数々の新機能だ。

運転支援技術プロパイロットは、高速道路での「長距離運転」と「渋滞」という2大ストレスを軽減することを目的に搭載された。長いことプロパイロットの基本だった単眼カメラでのセンシングに加え、ミリ波レーダーを組み合わせたセンサーフュージョンによって制御を行う先進のシステムだ。

単眼カメラはフロントウインドウ上部に、ミリ波レーダーはフロントグリル中央のエンブレム内に組み込まれた。もちろん、全車速追従クルーズコントロールとなっていて、電動パーキングブレーキによって停止後のホールドも行う。

「ミリ波レーダーを組み合わせた」となると、『セレナ』や『ルークス』に搭載されたものと同じと思いがちだが、2台前を走る車両を検知し注意を喚起する「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」には対応していない。その意味では一世代前のシステムとも言えそうだが、ミリ波レーダーによって天候の影響を受けにくい測距が可能となり、単眼カメラだけの制御よりもはるかに高精度なプロパイロットが体験できるものと予想する。

さらに、日本仕様の安全装備として、「踏み間違い衝突防止アシスト」や「インテリジェント・エマージェンシーブレーキ」も搭載している。この二つはいずれも日本では搭載が常識となっている安全装備だが、タイで生産されるキックスとしては日本向けに特別装備されたものだという。

その他、高速道路の出入り口や山道などのカーブで、4本のタイヤそれぞれにブレーキをかけながら狙い通りの走行ラインをトレースしていく「インテリジェント・トレースコントロール」、ふらつき運転や車線逸脱をドライバーに注意喚起する「車線逸脱警報」、ヘッドランプのロー/ハイを自動で切り替える「ハイビームアシスト」などを搭載。オプションでは周囲を360度見渡しながらスムーズな駐車をアシストする「インテリジェント・アラウンド・ビューモニター」も組み合わせられる。

そして、軽自動車であるデイズやルークスにまで搭載され始めた「SOSコール」も標準で搭載された。これは天井に準備された専用ボタンを押すことでオペレーターセンターへ自動的に接続されるというものだ。接続時にはセンターへGPSで得た位置情報も通報されており、その情報は警察や消防などへの連絡にも反映される。社会問題となっている「あおり運転」への対処としても有効な機能と言える。

見逃せないのは、この機能には「緊急自動通報システム(D-Call Net)」にも対応していることだ。万一、エアバッグが開くような交通事故にあったときは、エアバッグ作動と連動して自動でオペレーターとつながるのだ。仮にオペレーターが呼びかけても一定時間応答しなかい場合はオペレーターが消防に救助を要請してくれる。救命を前提で考えた時、この機能は大きな安心を生むことは間違いない。

「プロパイロット」の操作はステアリング右側で行う 「プロパイロット」車線や車両の形状を認識する役割を果たす単眼カメラ 「プロパイロット」ミリ波レーダーはフロントグリル中央のエンブレム内にセットされた 「インテリジェントトレースコントロール」(コーナリング安定性向上システム)」高速道路出入り口や山道などのカーブで、トレース性を向上させる《画像提供 日産自動車》 「インテリジェントDA/インテリジェントLI/LDW(車線逸脱警報)」運転中にふらついたり、車線を逸脱しそうなときに警報を発する《画像提供 日産自動車》 「ハイビームアシスト」ヘッドランプのロ/ハイを自動的に切り替える《画像提供 日産自動車》 「踏み間違い衝突防止アシスト」駐車場などで障害物がある場合に急加速を抑制して衝突を抑制。コンビニのガラスにも対応できる《画像提供 日産自動車》 「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」前方車両や歩行者と接近した場合に注意を喚起し、衝突しそうなときは衝突回避操作を促す《画像提供 日産自動車》 「SOSコール」天井に装備されたフタを開けてボタンを押すだけでオペレーターセンターへ接続される《画像提供 日産自動車》 「SOSコール」オペレーターセンターへ接続して通報する概念図。警察や消防などへの連絡も含まれる《画像提供 日産自動車》 「インテリジェント・アラウンドビューモニター」(移動物検知機能付)上から見下ろす映像で周囲360°で見渡して確認しながら安全に駐車をアシストする《画像提供 日産自動車》