ワイヤレス給電(受電モジュール+受電機器)世界市場規模推移と予測《画像 矢野経済研究所》

矢野経済研究所は5月28日、2020年のワイヤレス給電市場を調査し、アプリケーション別の動向、参入企業動向、将来展望をまとめたと発表した。

それによると2019年のワイヤレス給電(受電モジュール・受電機器)世界市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年比7.6%増の1601億9900万円だった。アプリケーション(用途)別に市場をみると、小型電子機器用が市場を牽引し、産業機器用でもワイヤレス給電システムが採用され、堅調に推移している。一方で、電気自動車(EV)向けは現時点で、本格的に成長していないものの、今後、最も成長の余地が大きな市場として期待されており、注目度が高い。

EV分野では、各国の環境規制の厳格化やEV普及政策によって中国を中心としてEV販売台数は増えているものの、内燃機関車よりも短い航続距離と高い車両価格が壁となっている。ワイヤレス給電の採用はEV自体の普及に大きく影響されるのに加え、給電システムインフラ整備の問題も残っており、これらを解決するためには時間を要する見込み。

産業機器分野ではAGVを中心にワイヤレス給電の採用が増加している。現状、AGV(無人搬送機)用のワイヤレス給電が主に使用されているのは、自動車の生産工場だが、最近では物流関係の倉庫での自動化が進み、需要が拡大している。

今後、遠距離間や複数機器への一度での給電、移動し続ける機械への給電が可能な新製品が期待されており、2030年のワイヤレス給電(受電モジュール・受電機器)世界市場(メーカー出荷金額ベース)は2739億0600万円まで成長すると予測する。