シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》

◆このクラスではあり得ないほどの質感

もっちりとしたシルエットと、独創的な世界観を突っ走る顔立ち。全長4160mmながら、『C3エアクロスSUV』の存在感は群を抜いている。なんたってこの色使い。外観はもちろん内装の至る所にアクセントとしてオレンジがあしらわれている。

マットで、ヴィヴィッドで、よく見ると危険注意を喚起するときに使うような目を引くオレンジ。こうした遊び心満載の色使いを見るたびに、フランス車は得だなと思う。もしも同じことを国産車がやったら、きっと「?」となるはずだから。


ドアを開けるとずしりとした手ごたえで、閉じたときの音も重厚感がある。このクラスではあり得ないほどの質感である。

シートは、表面はカジュアル&ポップだけれど、座り心地は硬め。フランス車のなかでも、特にシトロエンはシートクッションのむぎゅっとしたやわらかい座り心地が特徴だったけれど、もはやそれは過去の話。今は、こうして硬めで、でもしっかりとホールドするタイプになっていて、改めてもはや昭和でも平成でもなく、令和なのだと突き付けられる。

◆ニーズはクルマを鍛える


エンジンは、1.2リットルの3気筒+ターボ。組み合わせたミッションは6ATだ。そして、走り出しの軽いこと! もっちりしたデザインやドアの重さや、エアコンをつけたときのファンの音の大きさ(これは関係ないか)で、勝手に走りもおっとり控えめ系かと想像していたら、最初の加速であっさりと裏切られた。出だしダッシュの軽いことといったら、胸のすく気持ちよさである。

スポーツモードへの切り替えもできるのだが、正直なところ、スポーツモードで回転数を上げながら走るよりも、ノーマルモードのまま、気楽にすいすい走る方がだんぜん軽快である。この加速感は、首筋に心地よい新緑の風が吹いていったときの気分に近い。

そういえば、フランスでは凱旋門をはじめ、交差点ではなくラウンドアバウトがいたるところにある。初心者は一番、外側をぐるりと回るけれど、うまくなってくると「一直線に突っ切る」のが定番なのだそうだ。ラウンドアバウトでの車線(?)変更に勝ち、一直線に走るためにはこのエアクロスの加速感が必要なんだろう。ニーズはクルマを鍛える。まさにそんなクルマである。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》 シトロエン C3 エアクロス SUV《撮影 宮崎壮人》