オペルオートモビル gmbh CEO およびグループ PSA 執行役員のミヒャエル・ローシュラー氏《撮影  内田俊一》

2017年にGMからグループPSA傘下になったオペル。グローバル展開に転じ日本にも再進出が2021年後半に決まった。そこでオペルオートモビル gmbh CEO およびグループ PSA 執行役員のミヒャエル・ローシュラー氏に同グループ内のオペルの位置づけなどについて話を聞いた。

◆社会の真ん中にいる人がターゲット

ヨーロッパではメジャーブランドのオペルだが、日本では2006年に撤退してしまっているので、そのイメージは薄い。そこでローシュラー氏にまずはオペルが考えるターゲットユーザーについて聞いてみた。「それは、社会の真ん中にいる人。イノベーションやハイテクは好きで、そういったものをリーズナブルな価格で手に入れたいと考えている人たちだ」という。

社会の真ん中というと、同じドイツではフォルクスワーゲンがイメージされる。そことはどう住み分けるのか。「いろいろあるが、まずオペルはとてもワクワクする、新鮮なデザインをまとっているクルマということが挙げられる。そのワクワクするようなデザインを様々なクルマで表現していることがフォルクスワーゲンとの違いだ。また、ターゲットとしているお客様が求めるイノベーションが、手の届く価格で得られることが重要になってくる」という。

◆グローバル化で共通のフロントフェイスを

いまデザインの話が出たが、近年オペルも共通のフロントフェイスを持つに至った。その理由についてローシュラー氏は、「これはとても重要なことで、現在“バイザー”というデザインモチーフを用いており、これはすべてのオペルに取り入れていく」とコメント。バイザーとは、ウイングイルミネーションシグネチャーライトや、横基調のクリースを共通要素として持たせた新しいフロントフェイスで、そこに技術要素(レーダー、ライダー、カメラ、灯火類)を収めていくという。

ローシュラー氏は、「ここ2から3年で、オペルの顔、あるいはオペルのデザイン言語を世界共通にしていこうと考えている。そうすることで、オペルの顔やデザイン言語をグローバルでお客様に受け止めてもらうことが非常に重要で、その結果、オペルのブランド価値を理解してもらえると考えている」と述べる。つまり、GM時代の欧州市場メインの販売から、グローバル展開を踏まえた方向転換というわけだ。

◆PSA他ブランドとの差別化は明確に出来ている

さて、オペルは2017年からグループPSA傘下になったが、その中でのポジショニングはどうか。ローシュラー氏は、『コルサ』を例に、「エクステリアのマトリックスライトも含めて、非常にクリアなデザインや、インテリアもなるべく絞り込んだ要素でクリアなデザインを提供している。また柔らかいシートではなく、あえて硬いシートを使うなどの様々な技術(ドイツの腰痛などにおける第三者公的機関から認証)もある。このように同じプラットフォームを使うプジョー『208』と比較すれば、全く違うクルマに仕上がっていることがわかるだろう」と説明。

そのほかDSやシトロエンに関しても、「全く違う。いま述べたように要素をなるべく絞り込んでクリアなデザインがポイントだ。シートにおいてもシトロエンはかなりソフトでそこが大きく違うところだ。コルサをとてもハードなシートだ。シフトフィーリングも正確でシャープ。乗り心地そのものもシトロエンはフワッとしていて柔らかいなど全く違うクルマに仕上がっている」と大きく違っていることを強調。

さらにインテリアでは、「ボタン類も少なく、メーター周りのパネルも要素を非常に絞り込んだデザインだ。つまり差別化はきちんと出来ている」とした。

◆量ではなく質

2021年後半に日本市場に再上陸するオペルだが、日本はどのようなポジションを目指すのか。「日本市場は量的に、何台売れるかとかという意味で高いポジションが得られるものではない」とローシュラー氏。そこで、「日本のお客様は最高の品質と、最高の顧客満足度を求めている。そういった質的なポジションで非常に高いところを目指す」と述べ、「これをクリアすれば、その品質は世界中に訴求出来るものとなるだろう」と語った。

オペル コルサ《撮影  内田俊一》 オペル コルサ《撮影  内田俊一》 オペル コルサ《撮影  内田俊一》 オペル コルサ《撮影  内田俊一》 オペル コルサ《撮影  内田俊一》 オペル コルサ《撮影  内田俊一》 オペル コルサ《撮影  内田俊一》