グッドイヤー オールシーズンタイヤ試乗会《撮影 雪岡直樹》

季節の変わり目、クルマを持っているといつも悩ませられるのがタイヤの問題。特に都内に住んでいると、「わざわざ冬タイヤに履き替えなくていいかな……いや、でも万が一の時もあるし……」と毎年困ってしまう。

そこで、最近気になっているのが、夏でも冬でも履くことのできるオールシーズンタイヤだ。私は雪国出身なので、やっぱり雪道で不安なく走れるかどうかが一番気になるところ。今回、オールシーズンタイヤの先駆者であるグッドイヤーの雪上試乗会があるということで「オールシーズンタイヤの性能をたっぷり試せるいい機会!」と喜んで参加した。

◆豊富なサイズが嬉しいグッドイヤーのオールシーズンタイヤ


グッドイヤーのオールシーズンタイヤは、日本市場では『Vector 4Seasons Hybrid』と『Assurance Weather Ready』の2種類がある。どちらもM+S(マッド&スノー)のマークに加えて、スノーフレークマークが付いており、高速道路での冬タイヤ規制に対応している。セダンやコンパクトカーなどに向けて幅広いサイズを揃えている『Vector 4Seasons Hybrid』と、SUVを視野に入れて開発された『Assurance Weather Ready』は、合計58サイズ用意されている。グッドイヤーのオールシーズンタイヤは、軽自動車から大型のSUVまで装着可能な豊富なラインナップも魅力のひとつだ。

◆今回の試乗会は5種類のタイヤを走り比べ!


試乗する場所は、スキー場の駐車場にパイロンを並べたちょっとしたジムカーナのようなコースだ。オールシーズンタイヤ『Vector 4Seasons Hybrid』と『Assurance Weather Ready』の他にも、スタッドレスタイヤ『ICE NAVI7』『ICE NAVI SUV』『WRANGLER DURATRAC』を履いた試乗車も用意されている。他のチームが何度か走った後だったので、路面の雪は溶けてべしゃべしゃになり始めている。普段だったら嫌な路面だが、オールシーズンタイヤのテストにはぴったりだ。

まずはスタッドレスタイヤを履いたクルマを運転してみると、今回のように雪質がどんどん変化していくような路面でもきちんとグリップしている感覚がある。あえてクルマを振り回すように運転してみると、すこし滑り出してもすぐにグリップが戻るので、ぐいぐいと進んで行くことができる。特に深い雪などのような悪路でも走破性の高い『WRANGLER DURATRAC』を履いたトヨタ『ランドクルーザー』は、雪の上でも自由自在! 何をしてもびくともしないので、楽しくてコースを何周もしたくなってしまう。とても雪深い地域やアウトドアでばりばりに楽しみたい人にはこういうタイヤもいいかもしれない。

◆一押しのオールシーズンタイヤを試す


そして、今回の主人公であるオールシーズンタイヤも試乗することに。まずは『Vector 4Seasons Hybrid』を履いたスバル『インプレッサ』に乗り込む。以前『Vector 4Seasons Hybrid』で、一般道や高速道路の積雪路などを試乗したことはあるが、その際は普段どおり安全に走っていたので、雪でも怖い思いをすることはなかった。今回はせっかく広いコースを用意してもらったので、思い切ってクルマを走らせてみることに。さすがにスタッドレスタイヤよりは滑り出すのは早いが、手の中できちんとコントロールできていると感じる。多少スリップしても空転し続けることはなく、前に前に進んでいくことができた。

「こんなに思い切りアクセル踏んだりハンドル切ってもこれだけ走れるなら、一般道で運転する分には問題なさそう」と改めて感じた。『Assurance Weather Ready』も試してみたが、感触的にはほぼ『Vector 4Seasons Hybrid』と同じ印象を受けた。この試乗車はトヨタ『RAV4』だったので、タイヤよりもクルマと4WDシステムの違いの方が印象としては大きく感じたが、雪の上でのコントロールしやすさは同じだった。

◆メディア対抗タイムアタックでドリフト走行


最後に『Assurance Weather Ready』を履いたRAV4でメディア対抗タイムアタックが行われることに。これまでは、一応常識の範囲内でクルマを走らせていたのだが、タイムアタックとなれば話は別!「とにかくタイム重視で、アクセルを限界まで踏んでぶっとばそう」と心に決めてスタート。走り出しもかなり奥までアクセルを踏み込んだのだが、タイヤはしっかり路面を捉えてクルマは勢いよく飛び出した。右、左、右……と続くパイロンも、滑りすぎないようにアクセルとハンドルをリズミカルに操作してクリアしていく。

オールシーズンタイヤの感覚にもだいぶ慣れてきて、「ここまでは行ける」と分かったので、後半はさらにそのギリギリを攻めてみることに。最後の高速コーナーでアクセルを多めに煽ってみると、車体がググッと横を向いて流れ出す。「ドリフトしちゃった!」自分でも予期せぬドリフトに思わず笑ってしまった。反射的にカウンターをあてて体勢を立て直しながら、そのままストレートを走り抜けてゴール! 必死に運転していたので、正直なところ走っているときにはタイヤがどうこう考えてはいなかったが、走り終えたあとは素直に「楽しい!」と思えた。

あとで冷静に思い返してみると、タイヤから伝わってくるインフォメーションが多いので限界がつかみやすく、逼迫した状態でも自然にクルマをコントロールすることができたのだと思う。これだけ不安なく、むしろ楽しく雪道を走り回ることができたというだけで、オールシーズンタイヤは冬でも安心して使うことができるということがよく分かった。

◆グッドイヤー社長に聞く日本でのオールシーズンタイヤの広がりとは


グッドイヤー代表取締役社長である金原雄次郎氏は、「日本でのオールシーズンタイヤの市場構成比は約1%ですが、ユーザーに認知してもらうことでこれからもっと伸びていくと考えています」という。オールシーズンタイヤは、夏でも冬でも使えるだけではなく、耐摩耗性も高いので、おそらく日本では受け入れられやすいタイヤだと思う。カーシェアなどが増えていくこれからの時代にはぴったりではないかと思い質問してみると、「私たちもそう考えていて、今はレンタカーショップなどと提携してモニターをしてもらっています」とのこと。


私は普段マツダ『ロードスター』に乗っていて、夏にはサーキットでスポーツ走行もできるのタイヤを履いているのだが、冬にわざわざスタッドレスタイヤに履き替えて雪のほぼ降らない都内を走ることにモヤモヤを感じていた。やはりスタッドレスタイヤの特性上、いつものロードスターのように自分が操作した通り素直に走ってくれる感じがどうしても薄まってしまう。私のようにスポーツカーに乗る人が冬用にオールシーズンタイヤを履くのはありかもとも思った。

そう考えるとオールシーズンタイヤはそれぞれの人や用途にあわせて幅広く使用することができるものなのかもしれない。クルマの運転はちょっとした不安や懸念で億劫になりがちだ。夏タイヤや冬タイヤを選択する問題もそのひとつ。オールシーズンタイヤはそんな不安を簡単に解消することができて、クルマでちょっと出かけたい気持ちをより軽く、楽しくしてくれる存在のように思えた。


伊藤 梓|ライター、編集者
クルマ好きが高じて、2014年にグラフィックデザイナーから異業種の『カーグラフィック』誌の編集者へと転身。2018年からはより広くクルマの魅力を伝えるために独立。自動車関係のライターほか、イラストレーターとしても活動中。

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