損害保険ジャパン日本興亜は2月26日、自動運転に対応したバスなど公共交通機関のトラブル支援を目的とした新サービスの実証実験を実施した。損害保険会社として、自動運転時代を見据えた新たなビジネスモデルとして、今後も実験を重ねて事業化を目指していく考えだ。

実証実験は、自動運転車車両にトラブルが発生し、東京都内にある「コネクテッドサポートセンター」で手配した代車やレッカー業者を現場へ急行させてトラブルを解決するという想定で実施された。「モリコロパーク」(愛知県長久手市)では自動運転車両が実用化されており、「知の拠点」に設定した「自動運転見守りセンター」がその運行管理を担って走行状態を常時監視している。その上で東京都内にあるコネクテッドサポートセンターではリアルタイムで車両の運行状況を把握しており、必要とされるサポートを迅速に提供するシステムとなっていた。

実証実験では、まず車両が停止したことをコネクテッドサポートセンターが検知すると、オペレーターが自動運転見守りセンターへ連絡を取り、車両がその状態にあるかを運行状況から確認してもらう。その上で直接オペレーターが自動運転車の乗客に対してケガの有無を聞き、車両の状態確認が必要で少し時間がかかることを告げる。そして、車両側にトラブルがあることを確認したらコネクテッドサポートセンターは自動運転見守りセンターへそれを通知し、合わせて乗客を乗せる代車やトラブルが発生した車両を載せるレッカー車を手配したことを連絡する。一方、乗客へはコネクテッドサポートセンターから代車の手配したことをを案内しておく。最後は代車やレッカー車の到着を自動運転見守りセンターに確認し、実証実験は終了となった。

“自動運転”の時代が間もなく訪れると言われて久しいが、その実現に向けては様々なハードルが横たわっていることは紛れもない事実。自動運転に対する社会の受容性も極めて重要だ。損保ジャパン日本興亜が2017年と19年の2回に分けて「自動運転車に関する意識調査」をしたところ、「自動運転車の普及にあたり不安と感じる点」を問う設問では、「運転支援・自動走行機能の誤作動」に加え、「交通事故が生じた際の責任の所在があいまいになること」など、交通事故やトラブルが発生した場合に対する不安を感じるという声が多く見られたという。自動車保険に加入する運行管理者にとっても、こうした自動運転車の普及によって保険会社がどこまでサポートしてくれるかが最大の関心事だ。

その意味でも保険会社としての役割は、これまでの事故により発生した経済的損害をサポートすることから、トラブルが発生したときにどう対応できるかに今後大きく変化していくと同社は見る。今回の実証実験で検証したようなトラブル時の対応は、そうした時代を予測してのこと。場合によっては車両の遠隔操作までサポートすることも想定する。損保ジャパン日本興亜ではこの実用化に向け、10台前後のサポートを一人のオペレーターで出来るような体制作りを進めていきたいとも話す。同社は今後も実験を重ねた上でこうしたサポートの事業化を目指していくことにしている。