プジョー 508 SW Allure《撮影 島崎七生人》

カタログのスペック表を当たると、セダンとの車両重量差は+40kg。果たしてワゴンボディのSWでもセダンのあの爽快な走りが実現されているかどうか……。そう思いながらの試乗だったが、結論はいいほうに裏切られたのだった。

◆「いい塩梅」のスポーティさが味わえる


とにかく走り始めて「おぉ!」と思わせられたのは、セダンにまったく遜色のないスムースで自然な身のこなしが実現されていたから。小径ステアリングホイールも不自然さがなくいい塩梅のスポーティさが味わえる。

また忘れてはいけないのは、リヤサスペンションが電子制御だということで、まさに積極的にリヤ側を安定させてくれるこの機能は、ワインディング路での的確なロードホールディングと、クルマをしっとりとフラットに走らせる乗り味のよさに貢献している。

ラテン系のクルマながら、今やボディ剛性がしっかり感じられるところも感心するし、だからこそサスペンションのいい仕事が犠牲にされないのだろう。乗り味のよさは17インチタイヤであるところも大きい。

◆ひと頃のホンダのエンジンを思わせるフィール


搭載エンジンはガソリンの1.6リットルターボ(180ps/250Nm)だが、これも数値以上の気持ちよさだ。ひと頃のホンダのエンジンを思わせるような粒立ちと切れのいいパワーフィールで、胸のすく加速が楽しめる。100km/hは8速で1500rpmを切る程度。もちろん快適で、いたずらに寝かされすぎないAピラーとフードが見渡せる前方視界は、クルージング中の安心感にもつながる。

リヤシートのフカッ!とした座り心地のよさもいい。インパネやトリム類、各種スイッチの操作感など、インテリア全体のフィニッシュレベルもドイツ車に迫る。それとラゲッジスペースも、スタイリング優先かと思いきやそんなことはまったくなく、530〜1780リットルが確保されているという。


見るとトノカバーがかなり高い位置にセットされ、「フランス車だぜ、実用を犠牲にする訳ないだろ」とばかりに床面も低くフラット。「Allure(アリュール)」のおとなしめのパターンのフロントグリルもかえって好ましい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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