FAFビートクルーザー。バモスホンダベースのビーチカー仕様。《撮影:中込健太郎》

東京オートサロン2020の、中ホールの会場へ降りるエスカレーターの前にあったこともあり、1台のビーチカー風の『バモス・ホンダ』が多くの来場者の注目を集めていた。

いち早く軽自動車の商用車をベースに、リフトアップスプリングを手掛けてきたフォレストオートファクトリー(FAF)。バモスベースで仕上げたその名も『FAFビーチクルーザー』は、クラシックボートかヨットのような、明るく優雅でどこか懐かしい世界が、小さな車体の中にうまく表現されていた1台だ。

レジャーカーの先駆けであるバモスホンダをベースに一台完成させたいという構想はかねてからあったのだが、今回出展したこのクルマの完成に至るまでには、気づき、出会いがあったのだという。

「リアのデッキは本物の木を使用しています。これを手掛けた埼玉の高村クラフト工房さんは、iPhone用のフォルダーやウッドスピーカーを作る木工職人。去年の台風の後で出会い、地域材を活用できないか問題意識が出てきたときに出会いました」

FAFは千葉県内で営業しており、2019年の台風15号で被害に遭った。「倉庫の屋根が飛びました。その時に、今森林が荒れていることに問題を感じたのです。森林は防風林になります。森林が荒れると土砂崩れも起きやすくなるのです。温暖化の問題だけでなく、木とともに生きることは大切です」

「地域の森林の木を材木として積極的に使用して、森林にサイクルを作っていくことが大切です。今回の、この車のウッディーな雰囲気が結びついて、高村工房さんにお願いししようということになったのです」

高村クラフト工房は埼玉県のときがわ町にある。地元三富(さんとめ)地域=川越、所沢、狭山、ふじみ野、三芳町のあたりにまたがる畑作地域の緑豊かな環境と向き合って、地域材を活用して様々な木工作品を手掛けてきた工房だ。

ベースとなるバモス・ホンダはかなり希少なクルマ。1970年から3年間の間で2500台ほどしか販売されていなかった。「業者オークションにかなり程度のいいものが出品されました。結構高くついたのですが頑張って仕入れました」とFAFの戸森氏は話す。

レジャーカーの走りでもあるこのモデルをベースにきれいにレストアするばかりではなく、遊び心と大人のセンスのカラーコーディネート。多くの人が足を止めていた。《撮影:中込健太郎》 リアはまさにボートのデッキ風に仕立てられている。《撮影:中込健太郎》 リアハッチを開け放てばそのまま海へというコンセプトだそうである。《撮影:中込健太郎》 見た目の愛嬌は女性や子供の反響も多かった。《撮影:中込健太郎》 リアのウッドデッキ部分はとてもきれいな仕上がりだがすべて本物のウッドで仕上げられている。埼玉の木材を用いて様々な木工作品を制作する高村クラフト工房の仕事だそうだ。《撮影:中込健太郎》 ダッシュボードの部分はチーク材を利用している。《撮影:中込健太郎》 フロアの仕上げ、白いカラーとのコントラストが鮮やかだ。《撮影:中込健太郎》 ボディの塗装も美しい。遊び心はあるが品がいいカラーコーディネートも目を引いた。《撮影:中込健太郎》 今はなかなかこういうクルマは生まれないだろうが、今こそあったら人気が出そうなバモスホンダである。《撮影:中込健太郎》 ホイール、タイヤもしっかりとこだわりを感じる。《撮影:中込健太郎》 ビーチクルーザー。ベースのコンセプトを現代的にしっかりと昇華させている。《撮影:中込健太郎》 スペアタイヤの配置も個性的なバモスホンダ。《撮影:中込健太郎》 遊び心と、ベースにある自然との共存というテーマ。社会派の一台でもあるがオートサロンならではの一台ではないだろうか。《撮影:中込健太郎》 FAFではもう一台N-VANのリフトアップ仕様を展示。《撮影:中込健太郎》 車中泊にぴったりなパーフェクトマットも注目を集めていた。《撮影:中込健太郎》 N-VAN用ビルトインタイプのヒッチメンバー。スペアタイヤのスペース、そのためのバンパー構造をうまく活用していた。《撮影:中込健太郎》