100年に一度の変化の流れでは、自主独立主義を貫いてきたホンダでも、10月末には系列部品メーカーのケーヒン、ショーワ、日信工業の3社を、日立製作所傘下の部品会社と合併させることを決定。
そのホンダ自身も、英国の欧州連合(EU)離脱(=ブレグジット)交渉が大詰めを迎えている最中の2月に、英国での生産から撤退する予定をいち早く発表したことでも話題になった。
◆ホンダの逆襲、F1レース復帰後悲願の初優勝を達成
ホンダがメディアから熱い視線を向けられることは久しくなかったが、今年は後ろ向きの話ばかりではなく、F1レースではオーストリアGPで今季初優勝。ホンダにとっては2006年以来13年ぶり、2015年のF1復帰後初の優勝となった。その後ドイツGPでも優勝し、ブラジルGPでは1991年日本GP以来のホンダ勢が1-2フィニッシュを果たした。F1撤退も噂されていた中での「ホンダの逆襲」とも思えるうれしいニュースだった。
しかし、電子制御のパーキングブレーキ関係の不具合で軽自動車の新型『N-WGN』が販売中止、看板車種の『フィット』の新型モデルの発売も新年2月に延期するという経営体制の脇の甘さも浮き彫りになった。
ここまで自動車業界のこの1年を回顧してみると、やはり事故や不祥事のニュースが目に付くが、肝心カナメの新型車の話題が少ない年でもあったようだ。それでも、日本を代表する「今年のクルマ」を決める「日本カー・オブ・ザ・イヤー」にはトヨタの『RAV4』、輸入車の中で最も優秀な車である「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」はBMWの『3シリーズ』が受賞。
一方の「RJCカーオブザイヤー」には日産の『デイズ』と三菱自動車の『eKシリーズ』のダブル受賞。「RJCカーオブザイヤー・インポート」にはやはりBMWの3シリーズが栄冠に輝いた。また、魅力的なクルマのカラーデザインを顕彰する「オートカラーアウォード2019」には、マツダの『マツダ3』と『CX-30』が選ばれた。受賞したクルマはともかく、個人的には今年は皇居前や沿道で多くの人が手を振って祝福した「即位を祝うパレード」のためにオープンカーに改造したトヨタの『センチュリー』に「国民栄誉賞」を贈ってあげたいものである。
ただし、喜ばしい話題に水を差すようだが、景気後退や消費税率10%への引き上げなどの逆風が吹き荒れて、各社とも国内の新車販売は前年割れのきびしい状況が続いているのも気掛かりだ。
平成から令和に代替わりした2019年は新たな時代の幕開けを実感した1年だったが、2020東京オリンピック・パラリンピックイヤーの新しい年は、どんな脚光を浴びる出来事が起こるのか。トヨタ自動車の豊田章男社長は、来年以降も会長職を続投する自工会の年末記者会見では「平穏無事の年になってほしい」と願いを語っていたが、果たしてどうなるのか……。
●社会問題化した「あおり運転」と高齢ドライバ
●「ゴーン逮捕」で経営の混乱が続く日産の1年
●経営トップがモビリティ社会に向けて「100年に一度」を連呼
●ホンダの逆襲、F1レース復帰後悲願の初優勝を達成
2019年自動車業界ニュース総まとめ その4…ホンダの逆襲
2019年12月31日(火) 12時30分
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