メルセデスベンツGクラス新型《撮影 中野英幸》

“ゲレンデヴァーゲン”と呼ばれた初代の誕生が1979年だから、ざっと40年。大きく見ると途中1989年にモデルチェンジがあり、現在のモデルはその後継版として2018年に登場。ただし“W463”のコードネームは従来型を踏襲している。

◆変わらぬようで変わっていたエクステリア

それにしても“フルモデルチェンジ”だと言われても多くの人にはピンと来ないのでは? レポーターも詳しく中身を知るまでは「きっと“パーツの90何%が新規だから新型です”のパターンなのでは?」と、口には出さずに思っていた。

が、実際は“本当に”フルモデルチェンジであり、ドアハンドル、スペアタイヤカバーほか、僅かな部品がキャリーオーバーされている以外は新設計だという。なるほどそういう目で観察し直せば、たとえばカドにRがついたドア(アルミ製だ)の見切り線は違い、ドア自体、上方で僅かに傾斜しているし、ガラスもまったくの平板ではないようだ。その他もろもろ、クルマを舐めるように眺め回せば、確かに外板はまるっきり違うことは、薄々ながら実感できる。

◆ メルセデスベンツの最新コックピットと“Gらしさ”

一方でインテリアは、“最初の”モデルチェンジでインパネが鉄板剥き出しではなくなり、その後の改良で当時のメルセデスベンツの乗用車並みのモニターやメーターが備わったりしたことに感動したが、今回はそれ以上。

ナセル(ヒサシ)付きというのが“G”らしいメーターは、最新のメルセデスベンツの乗用車と共通のコクピットディスプレイであり、コンソールに目を落とせば、シフトと駐車ブレーキレバーがなく、ここにも最新のコントローラー、スイッチ類が配置されている。ドアトリムの上面にパワーウインドゥスイッチがあり、センターパネルの一等地に3つのデフロックスイッチが並ぶのがGらしさの名残といったところ。

◆ドライバーを楽しませるGの走り

とはいえ、走らせれば、紛れもなくGだ。コーナーにウインカーが見えるボンネット越しに進行方向に視線を向けつつ、アクセルを踏み込むと、そこからは悠然とした“G”のドライブが楽しめる。

試乗車は最新の3リットルの6気筒ディーゼルターボ(286ps/61.2kgf・m)を積むモデルだが、パワーフィールは力強くも超スムースなのが極上。極上といえば乗り味もドッシリと地に足のついた味わいにしなやかさが加わったもの。ラダーフレームと最新のサスペンション、高剛性ボディが、上質な乗り味を作り出している。ステアリングフィールも無用なキックバックなどもはや皆無で、これもまたスムースな操舵感を楽しませてくれる。見晴らしのいい着座位置の後席の乗り心地もゆったりとしたものだ。

走り出して、ガション! とドアロックのアクチュエーターが作動するかなり大きな音がして驚かされたが、これも多分ワザと聞かせているに違いない。クルマから降りでドアを閉めた時の、レストランの厨房の冷蔵庫のドアを閉めたときのようなトツッ! と立つ硬質な音とタッチも、これまでのGと変わっていなかった。  

パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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