ポルシェは8月26日、『タイカン』(Porsche Taycan)のプロトタイプがドイツ・ニュルブルクリンク北コース(20.6km)において、4ドアEVスポーツカー最速となる7分42秒のラップタイムを記録した、と発表した。
このタイムアタックは、ポルシェのテストドライバー、ラース・ケルン氏が担当した。タイカンは開発の初期段階から、ニュルブルクリンク北コースでのテスト走行をシミュレーターで重ねてきた。これにより、バーチャルなサーキットでの評価とテストを行うことができた。ポルシェによると、このテストにおける目的のひとつは、ラップタイムに大きく影響する電力エネルギーの温度管理プロセスを知ることにあったという。
◆サーキット性能を支える新技術を導入
ポルシェ初のフル電動スポーツカー、タイカンのサーキットにおけるパフォーマンスを支える新技術には、複数のものがある。例えば、タイカンは効率が非常に優れた2つのモーターを、前後のアクスルに備える4輪駆動モデルだ。4輪駆動システムとトラクションコントロールは、走行状況に応じて、これまで以上に素早い反応を可能にしているという。一方のタイヤが空転した場合、電気モーターが瞬時に、もう一方のタイヤを作動させる。
また、「ポルシェ4Dシャシーコントロール」は、シャシーに関するすべてのシステムをリアルタイムで統合した。3チャンバーエアサスペンションとアダプティブエアサスペンションで構成されるこのシステムには、ともに電子制御式の「ポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)」と「ポルシェトルクベクタリング(PTV)」、スタビライザーの「ポルシェダイナミックシャシーコントロールスポーツ(PDCCスポーツ)」が含まれている。タイカンには、リアアクスルステアリングと21インチタイヤも装備されている。
◆800Vシステムを搭載する初の市販車
タイカンは史上初めて、800Vシステムを備えた車両でもある。これまでの電気自動車は、400Vシステムが一般的だった。ポルシェによると、800Vシステムにより、タイカンは高いレベルでパフォーマンスを安定的に発揮することができるという。
ポルシェによると、多くの要因がとくに高速域におけるパワートレインのパフォーマンスに寄与しており、シャシーとエアロダイナミクスは無駄なく作動するという。
◆スポーツプラスモードを採用
タイカンのドライビングモードは、電動スポーツカーのパフォーマンスを、すべての領域で発揮させる設計とした。「スポーツプラス」では、ドライバーからのリクエストに、最もダイナミックな方法で応えてくれる。このため、バッテリーのクーリングおよびヒーティングシステムの設計は、最大限のパフォーマンスを発揮することを目指して開発された。
同時に、クーリングフラップが開き、リアスポイラーが伸びてリフトを抑える。シャシーのセッティングは、サーキットにおける最大限のパフォーマンスを追求する設定となり、サスペンションは一番低いポジションを維持する。
ポルシェのテストドライバー、ラース・ケルン氏はタイムアタックの後、「タイカンはとくに、ケッセルヒェンに代表される高速コーナーでのハンドリング安定性と、アデナウの森のようなタイトセクションでの加速が印象的だった」としている。
ポルシェ タイカン、4ドアEVスポーツカー最速に…独ニュルブルクリンクで新記録
2019年08月27日(火) 12時15分
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