メルセデスベンツ Aクラス ディーゼル(A200d)《撮影 中野英幸》

◆メルセデスの末っ子Aクラスにディーゼルモデル

メルセデスベンツの末っ子ハッチバック、『Aクラス』がモデルチェンジした。その4代目は先代のAクラスより少しだけ大きくなっている。

誰が見てもメルセデスと分かるデザインだが、新しさを感じさせるのはインテリアだ。水平基調のダッシュボードを採用し、ドライバーの前には10.25インチの大きなディスプレイをふたつ並べた。また、次世代を先取りしたIT装備の採用も見逃せない。

最初に発売されたのは「A180」と名付けられたガソリンエンジン搭載車で、1.35リットルの直列4気筒DOHCエンジンにターボを組み合わせている。これに続いて上陸したのが直噴クリーンディーゼルを搭載する「A200d」だ。注目のパワートレインは2.0リットルの直列4気筒DPHCターボで、110kW(150ps)、320Nm(32.6kg-m)を発生する。基本設計は『Cクラス』と『Eクラス』、『GLA』などに積まれているものと同じだ。

◆車重増も「8速DCT」採用で活発な走りに

酸化触媒やSCRコーティング付き粒子状物質除去フィルター、尿素SCR還元触媒に加え、リアにアンモニアスリップ触媒を搭載して2020年実施予定のユーロ6規制を早々にクリアした。2.0リットルの直噴ディーゼルターボは控えめなスペックだし、車重も100kg以上増えている。だが、走りは活発だ。最新設計のデュアルクラッチトランスミッション(8速DCT)の採用と相まって、持てる実力を引き出しやすい。

ターボは低回転から威力を発揮し、8速DCTは切れ味鋭い変速を見せた。ガソリンターボよりトルクは厚みがあり、街中でもフレキシブルだ。また、高速道路での追い越しも俊敏にこなす。その気になれば4000回転オーバーまで実用になるが、早めにシフトアップしたほうが静かで快適だった。クルージング時は静かだで会話も弾むが、加速していくと意外にもスポーティな音色を奏でる。

◆減税を利用すれば投資額はグッと低く…

ハンドリングはスポーティだし、重さがいい方向に効いているのか、乗り心地もA180より上質だった。速いスピードでコーナーに飛び込んでも接地能力は高く、挙動も安定している。ボディが小ぶりと感じられるほど軽やかな身のこなしを見せた。荒れた路面での乗り心地はA180と同じようにやや引き締まっている印象を受けたが、高速走行になるとしなやかさを増していく。

A180より30万円ほど高いが、減税を利用すれば投資額はグッと低くなる。検討する価値のあるプレミアムコンパクトだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア(居住性):★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

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