三菱自動車の益子修会長みずから新商品をアピール(インドネシア国際オートショー)《撮影 藤井真治》

インドネシア国際オートショー(モーターショー)初日の記者発表会にはダイハツ奥平総一郎社長と三菱の益子修社長が駆けつけ、壇上でインドネシア事業への意気込みを熱く語った。

インドネシア市場でシェアトップのトヨタを追う2位のダイハツと三菱。両者にとって世界の事業展開の中でインドネシアの重要度は非常に高い。

◆インドネシアはダイハツと三菱にとって海外最大の販売国


年間の世界販売800万台の規模を持つトヨタにとって、インドネシアの販売台数は35万台。全体の5%にも満たない。しかしながらダイハツにとってみると20万台の販売規模を持つインドネシアは、日本に次ぐダイハツブランドの大きな市場。しかも、インドネシアのダイハツ工場はトヨタ向けのOEM車生産が30万台にも登ることから生産実績は年間50万台。ダイハツの世界生産の3分の1はインドネシアという状況だ。

また世界販売122万台の三菱にとってみると14万台のインドネシアは12%を占め、アメリカや日本国内販売をも上回る世界一の販売国なのだ。

◆トヨタグループでのダイハツの役割は電動化の動きの中でどうなる


オートショーではダイハツの開発コンセプトカー『HY FUN』が発表・展示された。本社からかけつけた奥平社長自らがプレゼンするほどの意気込みである。

まだコンセプトカーの段階とはいえ現在のライアンアップと比較するとかなり大きなサイズであり、EVを想定していると思われる。現在のところダイハツは日本で軽自動車や小さな登録車、インドネシアでは新興国低コストモデルを開発生産。トヨタ自身が開発できないモデルを担っているのだが、小排気量のガソリンエンジンが基本。電動化など新しいトレンドの中でダイハツのトヨタグループでの役割はいかに変化していくのかが注目される。

◆エクスパンダーに続く国産化モデルが欲しい三菱


インドネシアのベストセラーカーはトヨタの『アバンザ』。約200万円〜250万円の価格帯の3列シート、1300〜1500ccクラスのMPVである。ダイハツがインドネシアで生産しトヨタに供給しているモデルだが、インドネシア市場にベストマッチの商品パッケージとトヨタの販売力で、ピーク時には月販1万台上を売っていた。

この「アバンザ」の牙城を崩したのが三菱の『エクスパンダー』である。ぼぼ「アバンザ」と同様のスペックと価格帯ながら、ダイナミックシールドのデザインがインドネシアのユーザー心を掴んでしまった。一時はトヨタからベストセラーの地位を奪うだけでなく、商用車イメージの強かったインドネシアでの三菱ビジネス自体を躍進させた。また、フィリピンなど近隣国への輸出も好調に推移している。

益子会長が日産との提携前に大型国産化投資を決断し仕掛けたプロジェクトであり、インドネシアへの思い入れは深いようだ。

オートショーでは2列シートのSUV『エクリプスクロス』が発表・発売された。商品ラインアップが強化されたが、販売部隊としては「エクスパンダー」に続く量販国産モデルが欲しいところであろう。



<藤井真治 プロフィール>
(株)APスターコンサルティング代表。アジア戦略コンサルタント&アセアンビジネス・プロデューサー。自動車メーカーの広報部門、海外部門、ITSなど新規事業部門経験30年。内インドネシアや香港の現地法人トップとして海外の企業マネージメント経験12年。その経験と人脈を生かしインドネシアをはじめとするアセアン&アジアへの進出企業や事業拡大企業をご支援中。自動車の製造、販売、アフター、中古車関係から IT業界まで幅広いお客様のご相談に応える。『現地現物現実』を重視しクライアント様と一緒に汗をかくことがポリシー。

ダイハツ奥平総一郎社長(インドネシア国際オートショー)《撮影 藤井真治》 ダイハツのコンセプトカー HY FUN(インドネシア国際オートショー)《撮影 藤井真治》 ダイハツブース(インドネシア国際オートショー)《撮影 藤井真治》 ダイハツセニア(インドネシア国際オートショー)《撮影 藤井真治》 三菱アウトランダーPHEV(インドネシア国際オートショー)《撮影 藤井真治》 三菱 エクスパンダー(インドネシア国際オートショー)《撮影 藤井真治》