7月16日に日産本社で開催された新型スカイラインの記者発表会《撮影 会田肇》

クルマと社会がつながることによる、全く新しいカーライフの提供を目指している日産は、7月16日に発表した新型スカイラインで次世代コネクテッドサービス「Nissan Connect」を登場させる。ここではプロパイロット2.0とも連携するこのサービスについて解説したい。

◆地図更新も通信で自動化。スマホ連携の強化でますます便利に

このサービスは日産が新型スカイラインで初めて用意されたもので、コネクテッドによる様々なサービスが可能になる。具体的には「OTA自動地図更新(通信による地図の自動更新)」、「ドアtoドアナビ」、「docomo in Car Connect(車内Wi-Fi)」、「ドライブ制限アラート」が挙げられる。

利用するには「Nissan Connect」への加入が必要で、費用は初年度より有料となっている。プロパイロット2.0搭載車の場合で年間2万2000円、それ以外のグレードで年間6000円(いずれも税別)がかかる。さらに「docomo in Car Connect(車内Wi-Fi)」を利用するためには別途NTTドコモとの有料オプション契約も必要になる(料金は後述)。

まずは「Nissan Connect」についてのサービスを具体的に見ていこう。

「OTA(Over The Air)自動地図更新」は、車載通信機を使ってナビの地図を自動で更新するサービスで、地図更新は年3回行われ、新たに変更となった部分だけを差分で更新する。また、これとは別のタイミングで主要幹線道路が開通した場合は、その都度、更新されることになっている。データ更新はカーナビ機能が動作中であっても並行して行われる。そして、プロパイロット2.0を搭載したグレードの場合は、カーナビ用とは別に用意された3D高精度地図データの更新もこの機能を使って行われることになっている。

「ドアtoドアナビ」は、スマホとカーナビを連携させることで、最終目的地まで案内するというものだ。目的地をスマホで検索して設定すると、その情報はクルマを起動した時点でカーナビにも反映される。さらにクルマを駐めた場所までスマホが案内し、目的地付近に着いた時は最終目的地までスマホで案内を受けることができる。また、エンジンをOFFにすると登録済みのスマホにその位置情報を送信。クルマに戻る際にその情報を元に「マイカーファインダー」として利用できる。これらの機能自体は決して新しいものではない。しかし、クルマに乗り込んでから目的地を設定するのではなく、エンジンを起動してすぐに出発できるわけで、使ってみればすぐにこの機能の便利さを実感できるはずだ。

◆緊急時にはシステムが自動停止させ、通報までをサポート

安心面でのサービスもなかなかの充実ぶりだ。携帯電話を使わずにオペレータと直接会話できるサービスでは、目的地の設定や店舗・施設の検索が可能。必要ならナビの設定までも行ってくれるという。一台を家族共有する場合に役立つのが「ドライブ制限アラート」だ。家族などが使用中のクルマの運転状況(速度・時間・エリア)を、スマホに知らせてくれ、あらかじめ設定した範囲を超えた場合はプッシュで知らせてくれたりもする。

万一の時にありがたいと思うのが「プロパイロット緊急停止時SOSコール」だ。プロパイロット 2.0搭載車のみに対応するサービスだが、走行中はダッシュボード上の赤外線カメラがドライバーの視線を監視。たとえば脇見運転をした場合にはシステムが警告が作動させるが、仮にドライバーが異常を伴って意識を失っている状態なら警告を繰り返す。それでも反応がない場合はドライバーに異常があるとシステムが判断し、ハザードランプを点滅させながら同じ車線上で徐々に減速。停止したら自動的に緊急通報センターに音声を接続する。ここまでが「プロパイロット緊急停止時SOSコール」一連の機能だ。

さらに緊急通報センターの呼びかけにドライバーが応じない場合は、GPSの位置情報を元に緊急車両の手配を行うわけことになる。従来のSOSコールは、ドライバーが自らボタンを押して緊急通報するか、あるいはエアバッグが動作した時に連動して緊急通報するかのいずれかのみだった。システムが緊急停止まで行い、通報センターへの接続までを行うのは新型スカイラインが初めてのサービスとなる。

「docomo in Car Connect」は定額で使い放題となる車内Wi-Fiサービス。指定されたSSIDとパスワードを入力することで、乗車している人がそれぞれの機器でインターネット接続を楽しめる。このサービス自体はNTTドコモが提供するサービスで、日産に限らず秋以降発売が予定されているパイオニア製市販カーナビにも展開を予定。そのため、契約も日産とは関係なく個別に契約を行うことになる。通信は日本全国でLTEで使え、利用料金は期間ごとに1日500円、30日1500円、365日1万2000円の3つプランを用意(いずれも税別)。契約にはdアカウントが必要となるが、必ずしもドコモユーザーである必要はない。

地図データは3D高精度マップデータを含め、OTAによって自動更新される《画像 日産自動車》 「ドアtoドア」玄関先から最終目的地まで、カーナビとスマホを連携させて案内できる《画像 日産自動車》 「docomo in Car Connect」車内でWi-Fiが使い放題となる《画像 日産自動車》 「ドライブ制限アラート」一台を家族で共有している場合など、設定値を超える使い方をすると指定スマホに知らされるサービス《画像 日産自動車》 「プロパイロット緊急停止時SOSコール」ドライバーが警告に反応しない場合、ハザードランプを点けて徐々に減速して停止。停止後にオペレータに自動接続する《画像 日産自動車》 「Nissan Connect」のサービス全体像《画像 日産自動車》 新型スカイラインの運転席回り《撮影 会田肇》 プロパイロット2.0のメインスイッチと車線移動承認ボタンはハンドル内に用意された《撮影 会田肇》 ドライバーの視線を監視する赤外線カメラ《撮影 会田肇》 新型スカイライン《撮影 会田肇》 新型スカイライン《撮影 会田肇》 新型スカイラインの発表会には、フェンシングの銀メダリストの太田雄貴氏がアンバサダーとして出席した《撮影 会田肇》