大きい。『RAV4』ってこんなんだったっけ? 華奢だった美少年が、しばらく会わないうちにすっかりおっさんになっていて落胆……したときと同じ気分になるのは、私だけではないだろう。
ただ、大きくなったRAV4は、包容力を身に着けていた。2リットルガソリンエンジンを搭載した「アドベンチャー」は、SUVらしいふんわりゆったりとした乗り心地。ハンドル操作に対する反応のよさと、包み込むようなやわらかい乗り心地のバランスが絶妙で、体も心もゆだねたくなる安心感。ラフロードやマッドな道を走らなくても、ひたすら楽しくて頼もしい。あら、これなら肥大化しても許されてよ。
一方、「ハイブリッドG」。カタログ燃費は、ガソリン車の15.2km/リットルに対して、20.6km/リットル。高速道路で長距離を走っていてもガソリン残量表示の減りが圧倒的に遅くて、燃費のよさをひしひしと実感できる。
ただ、ガソリン車であるアドベンチャーで感じたあの包み込み感はない。ハイブリッドシステムを積んでいる分、重心が低くて上半分と下半分の重さの違いからくる違和感(?)があるというか、なんかサスペンションがうまく沈まないというかでしっくりこない。というか、アドベンチャーの乗り心地がよすぎるので、それを期待していると肩透かしを食らうのである。
さらにハイブリッド車の場合は音も気になる。ハイブリッド・システムのいろんな音が聞こえてきて、どうにも落ち着かないのだ。EV走行をしているときは、エンジン音こそしないから静かなのだけれど、その分、視覚障がい者のために付けられた人工音が車内に入り込んできて、これまた気になる。
SUVに求めるものは、悪路走破性や4WDの実力など、使う人によってそれぞれだけれど、街乗りメインで使うなら、やさしく抱擁してくれるガソリン車が、私的には、断然、絶対、確実によくてお気に入りなのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。
【トヨタ RAV4 新型試乗】断然、絶対、やさしく抱擁してくれるアドベンチャー…岩貞るみこ
2019年07月13日(土) 18時30分
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