静岡ホビーショーハセガワブースの最前列では試作品が展示されていた。【撮影:中込健太郎】

ハセガワは、静岡ホビーショー2019で、日本稲作現場では欠かすことのできない農業機械、ヤンマーコンバイン「YH6115 」の35分の1スケールモデルを発表した。

プラモデルというとスポーツカーをはじめとした乗用車や、軍用車両などを中心としたミリタリー系のスケールモデルがどちらかというと主流だった。ここでどうして稲刈り、脱穀、選別などを行う最新鋭の農業機械を商品化したのか、会場で株式会社ハセガワの長谷川社長にお話を伺った。

「これまでにもトラクターなどを商品化したところ思いのほか販売店からの反響も良かったので、農地を耕したのであれば刈り取りもしないと、というので、最新のコンバインを金型から起こして製品化することにしました」

「もう一つにはミリタリー依存からの脱却という面もあります。年配層にとっては、戦争を体験した人が居たり、そういう人が家族の中にいて、身近でした。そんな中で、良くも悪くも、ミリタリーが一種のコンテンツになっていたのです」

「しかし、今ではこうした状況自体になじみがある人が少なく、だれもが感情移入できるシーンではなくなってしまいました。そうなると模型の世界も依存していられません。その分、いろんな試みが必要ですし、模索し、発信していかなければいけないのではないでしょうか」と長谷川社長は話す。

35分の1というスケールで製品化したのにも、このスケールモデルが「ポスト・ミリタリー」として誕生した経緯が反映されているという。「実はミリタリーモデルには戦車や戦闘機などの他、様々な野営のシーンを表現するための品々がラインナップされています。例えば、ドラム缶。こうしたものは戦地ではなくても、農器具庫にあっても不思議ではありません。それを同じスケールにしておくことで、ちょっとしたものを流用することができるのです」と長谷川社長。新境地を開拓しつつも、既存商品との相乗効果は最大限活用しているようだ。

模型として商品化する上でプラモデルメーカーの着眼点やセンス。実際の製品の質感やディテールの表現力にもまして、そういうものがモノを言うようだ。

7月末出荷、8月初旬の発売を予定しているという。

ヤンマーコンバインYH6115、ハセガワが35分の1スケールモデルでこの夏発売。【撮影:中込健太郎】 スケールモデルながら、運転席ドアは開閉可動。【撮影:中込健太郎】 運転席脇に伸びる籾排出オーガの先端も実機同様に上下に可動する。【撮影:中込健太郎】 少ないパーツ点数と、色分けによって、未塗装のまま組み立てても実車のイメージがわかるように再現されるという。【撮影:中込健太郎】 オペレーターのフィギュアも一体付属されるそうだ。【撮影:中込健太郎】 コンバインと併せて、EP71 スターレットターボS後期型が24分の1スケールで発売される。韋駄天スターレットも注目のニューモデルだ。【撮影:中込健太郎】 ハセガワの話題としては、ホンダシビックフェリオVTiも再生産。7月発売予定だという。こちらも楽しみだ。【撮影:中込健太郎】 ウルトラマンに登場した化学特捜隊のジェットビートルもこの夏待望の新商品と言えるだろう。フジアキコ隊員のレジン製フィギュアとセットの限定キットとなる。【撮影:中込健太郎】