マツダの次世代エンジン SKYACTIV-X(参考画像)

マツダは4月19日、HCCIエンジンの制御シミュレーション技術に関する論文(東京大学大学院の3名との共著)で、同社研究者3名が2018年度日本機械学会賞(論文)を受賞したと発表した。

高効率、低公害なHCCIエンジンは、ノッキングあるいは失火が生じやすく、その実用化には安定したHCCI燃焼制御が不可欠。しかし、HCCI燃焼は、従来の燃焼方式と比較して、運転条件変化に敏感に反応するため、さまざまな運転条件下で燃焼を緻密に制御しなければならないことが、実用化へ向けての大きな課題だった。

今回、論文賞を受賞した研究では、まず従来の実験に基づく制御設計に代え、可能な限り物理法則に基づいた計算負荷の低い制御モデルを構築し、そのモデルを元に制御器を設計。この制御器によるシミュレーションを実施し、モデルを用いた燃焼制御の有効性を証明した。今回の受賞に当たり、従来困難であった過渡的な運転条件変化に対して安定したHCCI燃焼の実現に成功したことと、モデル構築によりエンジン燃焼と制御工学を結びつけ、今後さまざまな制御理論を適用できる環境を構築した功績が評価された。

日本機械学会賞は、日本機械学会により、「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的として1958年に設けられ、毎年、優秀な論文や技術などが表彰されている。マツダ社員が日本機械学会賞を受賞するのは通算12回目で、論文についての受賞は、今回が初めてとなる。