優勝を飾った#11 ヌービル。《写真提供 Red Bull》

世界ラリー選手権(WRC)第4戦ツール・ド・コルスが3月31日にフィニッシュし、フォード・フィエスタWRCを駆って首位を走っていたエルフィン・エバンスが最終ステージでパンクしてしまい後退、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)が逆転優勝した。トヨタ勢は6位が最高。

伝統のイベント名「ツール・ド・コルス」で知られるフランス戦は、コルシカ島を舞台にしたターマック(舗装路)ラリーだ。その最終ステージにドラマが待っていた。11.5秒リードの首位でここを迎えたのはMスポーツ・フォード陣営の#33 エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)だったが、ステージ途中で右フロントがパンク。ステージのトップタイムから約1分30秒遅れのタイムでフィニッシュすることになり、勝利は彼の手をすり抜けていった。

逆転勝利を飾ったのは#11 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペ WRC)。自身とヒュンダイにとっての今季初優勝をあげたヌービルは、「素晴らしい仕事をしたエルフィン(エバンス)のことを思うと、自分も本当に残念な気持ちになる。ただ、自分たちも充分に勝利に値すると思うし、素晴らしい戦いだった」との談話を残している。これでヌービルはドライバー部門で、ヒュンダイはマニュファクチャラー部門で、それぞれポイントランキング首位に浮上した。

今回のラリーの2位は今季ここまで2勝しているディフェンディングチャンピオン、#1 セバスチャン・オジェ(シトロエンC3 WRC)。#33 エバンスは3位でのフィニッシュとなっている。

「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」は今回6位が最高。エースの#8 オット・タナクはラリーの途中でトップに立つ場面もあったのだが、緊急タイヤ交換によるタイムロスで後退(ホイール破損があった模様)、最終的に6位でフィニッシュした。「もちろん最終結果には満足できないけれど、我々には充分なパフォーマンスがあった。ツール・ド・コルスを楽しむことができたので、全体的には良いイベントだったと思う」とタナクはポジティブに振り返っている。

他のトヨタ「ヤリスWRC」勢は、#5 クリス・ミークが9位、#10 ヤリ・マティ・ラトバラは10位。また、今季ヒュンダイからパートタイム参戦中の2004〜12年王者 #19 セバスチャン・ローブは8位だった。

前戦終了時点では#8 タナクがドライバー部門のポイントランキング首位で、マニュファク部門でもトヨタがトップだったが、今回の結果を受け、それぞれランク3位に後退した。ドライバー部門は#11 ヌービルが82点で首位、#1 オジェが80点、#8タナクが77点と続く3強僅差接戦状態。マニュファク部門もまだまだ接戦で、ヒュンダイ114点、シトロエン102点、トヨタ98点、フォード(Mスポーツ)70点という形勢になっている。表彰台に2台のマシンを送り込んだ陣営がいないという状況が開幕から4戦続いてもいる。

WRC第5戦は南米大陸へと転戦、アルゼンチンが舞台となる。開催日程は4月25〜28日だ。

優勝を飾った#11 ヌービル。《写真提供 Red Bull》 2位の#1 オジェ。《写真提供 Red Bull》 目前の勝利を逃すことになった#33 エバンス(最終結果3位)。《写真提供 Red Bull》 WRC第4戦の表彰式。《写真提供 Red Bull》 優勝したヌービル(右)と、彼のコ・ドライバーであるN.ジルソー(左)。《写真提供 Red Bull》 6位の#8 タナク。《写真提供 Red Bull》 8位の#19 ローブ。《写真提供 Red Bull》