VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》

◆正統派の高級サルーンだということを黙って伝える

当初「R-Line系」のみの展開でスタートした『アルテオン』。ところが最新のラインアップでは選択肢を広げるべく、「Elegance(エレガンス)」が新たに設定されている。

実車はグレード名のとおり、上品な佇まいが印象的だ。「R-Line(Advance)」はスポーティ指向のルックスが持ち味で、凝ったデザインのフロントバンパーやリヤスポイラー、ダークグラファイトマット塗装のアルミホイールなど、見るからに精悍さをアピールする。対してこちらのEleganceは、よりスリークな形状のフロントバンパーや、20インチとサイズ、デザインは共通ながらシルバー色に塗装されたホイールにより、基本は同じスタイリングの『アルテオン』にまた別の表情を与えている。あるいは『パサート』の上位モデルとして、正統派の高級サルーンだということを黙って伝えてくる。

◆トップレベルの“聴かせる音”を持つオーディオ


2トーンのナパレザーシートが備わるインテリアも、上級車のムードが存分に味わえる。シート表皮のほか、クールなセンスのウッドパネルがインパネ、ドアトリムに貼り込まれ、ずいぶん落ち着いた感じ。よく見るとステアリングホイールも別物で、センターパッドやリム部分の形状や、グロスブラックのスポーク部分などが専用だ。

また試乗車は「ラグジュアリーパッケージ」を装着していた。このセットオプションで注目なのは、UVカットの電動スライディングルーフとともに搭載されるオーディオだ。

ハイエンドのホームオーディオでも名を馳すデンマークの「DYNAUDIO」社製プレミアムサウンドシステムがそれで、総出力700W、16チャンネル/11スピーカー(+サブウーファー)構成のこのシステムは、なかなか贅沢なものとなっている。ごく短時間だったが“試聴”しながら走らせてみたが、まるでホームオーディオの音に浸っているかのようだった。豊かで厚み、力量がしっかりとある音は実に印象深く、走行中、いささかもバランスを崩すことなく、数あるクルマの高級オーディオシステムのなかでもトップレベルの“聴かせる音”に仕上げられていると思った。

◆どのVW車よりも重厚、上質な走り


外観はクーペのようなシルエットだが、ルーフのピークは後方にある。このため後席はゆったりと着座でき、さらに電動でバックドアを開ければ、ヨーロッパ車らしくワゴンにも匹敵する広大なラゲッジスペースが用意されているのも嬉しい。

走りっぷりはどのVW車よりも重厚、上質といったところ。『パサート』の上をいく2835mmのホイールベースによりフラットな乗り心地を保ってくれるのも嬉しい。

搭載エンジンはR-Lineと共通で、280ps/35.7kgmの性能を発揮する2リットルターボ+7速DSGで、4MOTION(フルタイム4WD)の組み合わせ。選択可能な走行モードにかかわらずゆとりのあるボディを思いどおりに走らせてくれ、加減速、コーナリング時も安定感の高さが実感できるのもいい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン TSI 4MOTION Elegance《撮影 島崎七生人》 VW アルテオン エレガンス《撮影 雪岡直樹》 VW アルテオン エレガンス《撮影 雪岡直樹》