世界最大市場の中国新車販売減速---28年ぶりの前年割れ[新聞ウォッチ]

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

世界最大の自動車市場である中国のる新車販売の伸びがストップ、日系メーカーの業績にも影響を与えそうだという。中国汽車工業協会によると、2018年の新車販売台数が17年比2.8%減の2808万600台だったと発表。年間ベースでの前年割れは天安門事件直後の1990年以来、28年ぶりだそうだ。

きょうの各紙も、毎日と日経が1面準トップで「中国新車販売28年ぶり減」などと大きく報じたほか、読売や産経なども総合面や経済面で取り上げている。また、朝日は1面で「中国経済二重苦」とのタイトルで「先月輸出入とも減」「昨年対米黒字拡大」などの関連記事とともに詳しく伝えている。

日経によると、「17年にあった減税打ち切り前の駆け込み需要の反動減に加え、米中貿易戦争などによる景気の先行き不透明感から、28年ぶりの前年割れとなった」と分析。さらに「世界最大の中国市場は右肩上がりの時代が終わり、自動車メーカーの競争は厳しさを増しそうだ」とみている。

ただ、メーカー別をみると、明暗が分かれているのが興味深い。トヨタ自動車は日本などから輸入する高級車ブランド「レクサス」の関税引き下げが追い風となり、14%増。ボルボ・カーも多目的スポーツ車(SUV)が好調で20%増だったという。また、日系メーカートップの日産自動車も3%増と販売を伸ばした一方、ホンダは『CR-V』が一時、不具合による販売停止に追い込まれた影響で1.7%減と落ち込んだ。

人口10億人を大きく超える中国市場の景気の先行き見通しについてはさまざま。中国の新車販売台数は世界2位の米国の1.6倍の規模。中期的には3000万台規模に達するという強気の見方もあるが、朝日によると「米中通商紛争を背景に減速の色合いを強めており、販売低迷は長引くとの見方が強い」との厳しい見方をしている。半面、ホンダの倉石誠司副社長は「顧客のポテンシャルはまだまだある」と話したという。

厳しい見方といえば、大相撲初場所で初日から連敗で土俵際に追い詰められた横綱・稀勢の里ほどの深刻さでもなさそうだが……。

2019年1月15日付

●グーグル35億円申告漏れ、日本法人広告事業、利益を海外移転(読売・1面)

●中国新車販売28年ぶり減、昨年2.8%マイナス、米中摩擦、消費に影響、中国、対米黒字最大(読売・2面)

●盛岡 - 新青森320キロ検討、JR東「空」に対抗時間短縮へ(読売・9面)

●「白ナンバー」宅配春も出番、通販拡大で繁忙期変化、特例期間を変更(朝日・30面)

●軽井沢スキーバス事故3年「時間止まったまま」(毎日・25面)

●長期勾留批判誤解と懸念、ゴーン事件(産経・3面)

●各社が北米市場向け戦略車、デトロイト自動車ショー開幕(産経・11面)

●トヨタ新型スープラ公開、17年ぶり復活、北米自動車ショー開幕(東京・7面)

●日米通商交渉入りへ、輸出自主規制復活避けよ(日経・13面)

●きょうにも保釈判断、ゴーン元会長否認事件、却下多く、東京地裁(日経・27面)