◆サイズもユニークなアテンザワゴン
ひと頃よくあったように、『アテンザ』のワゴンは車名で“スポーツ”とは名乗っていない。その奥ゆかしさに好感が持てるが、実車の走りは実に爽快で、セダンとのキャラクターの違いは、最新のモデルでより鮮明になった。
試乗車は2.2リットルのディーゼルターボ(190ps/45.9kgm)を搭載する4WDモデルの「XD Lパッケージ」。同グレードのセダンと諸元を照らし合わせると、車重さは20kgだけ重い。だがデビュー当初からの事実として、ホイールベースがセダンより80mm短い2750mmに設定されている。通常ならワゴンであれば同じか長くてもよいところだが、『アテンザ』のワゴンはその点がユニークだ。
◆自然なステアリング操作
そして最新のマイナーチェンジを受けたモデルでは、セダン同様、ボディ補強、サスペンション、ステアリング系の見直しが行なわれた結果、主に操縦性においてドライバーの意思とクルマの動きの齟齬がほぼなくなった。なので、良好な操舵力と反力を感じながらのステアリング操作は気持ちよく、切って、クルマが曲がっていく様も実に自然で気持ちがいい。
最新型ではセダンがよりフラッグシップとしてのエレガントな走りを身に付けたように、ワゴンは最新型で、あたかも『アテンザ』シリーズでスポーツカーの役割どころを果たしているような……そんな風に言える走りを実現している。
◆日常の運転がよりスムーズに
19インチタイヤでの足回りのチューニングもより磨き込まれ、乗り味も良好。クルマの挙動に無駄がなく、ボディが揺れかたも小さく、ドライバビリティが上質なのがいい。フロントガラスの板厚アップなどで静粛性もアップしている。
エンジンも出足のスムースさが増し、従来以上にストレスなく走らせていられる。街中、高速道路など織り交ぜた数日間で、奇しくもカタログ値(WLTCモード)と同じ17.0km/リットルの燃費を確認。動力性能がよりスムースに発揮されるようになり、日常使いの中で効率のいい運転もよりしやすくなった感触だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
【マツダ アテンザワゴン 新型試乗】「スポーツ」を名乗らずとも爽快な走り…島崎七生人
2018年11月03日(土) 21時00分
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