レイズブース(東京オートサロン2018)《撮影 雪岡直樹》

鋳造アルミホイールの開発は軽量化とパフォーマンスとの闘いだ。また鍛造より工程がシンプルなため、市場では海外の廉価メーカーとの競争も激しい。その中、鍛造レーシングホイールのトップメーカーのレイズ(RAYS)は、鋳造ホイールでもハイパフォーマンス、高品質、軽量化、デザインに挑戦している。

東京オートサロン2018のブースで、新しい加工技術による鋳造ホイールの新製品を展示していたレイズ 執行役員 加藤照幸氏(エクゼクティブプロデューサー)に話を聞いた。

◆鍛造・鋳造、両方手がけブランド力高める

加藤氏は「そもそも鍛造ホイールと鋳造ホイールの両方を手掛けるメーカーは珍しい」と前置きしつつ、それでもレイズが両方を手掛けるのは、ブランドによる優位性を確保するための戦略だと話す。

「アルミホイール市場全体でいくと、8〜9割が外国製の製品。海外の廉価メーカーも多数あり、市場競争は厳しい。市場で優位なポジションを確保するには、価格競争より高付加価値の製品を提供できるブランド力が一番重要だ。製造や加工の難易度は高くなるが、他社が追いついてきた技術に対しそれを超えるデザインや技術を追求することで、次を目指す」(加藤氏)。

サーキットレースやラリーのトップカテゴリで競技用ホイールを開発提供しているレイズの技術力や品質は定評がある。価格競争では勝てない海外メーカーに対しても、鍛造・鋳造ともに高品質・高付加価値の製品を出すことでライバルに距離を詰められないようにするというわけだ。

◆独自の加工技術を投入

今回のオートサロンで発表し、3月をめどに出荷を開始しようとしている新製品が『グラムライツ・アズール 57CNA』、および「57BNA」だ。鋳造ホイールに独自のダイヤモンドカットとハイブリッドマシニングを連続して行う加工技術を投入した。発売中の「グラムライツ・アズール 57ANA」は2×5本スポークのため5穴対応しかラインナップがなかったが、57BNAでは2×7本スポーク、57CNAでは2×10本スポークのデザインとなり、4穴にも対応できるようになった。

サイズは57BNAが17〜19インチ、57CNAは20インチ、22インチのラインナップとなる。

グラムライツシリーズは、軽量化、ひずみのなさ、バランスに優れ、剛性も高いことからドリフト競技で愛用され、納期がかかってもほしいというユーザーがいるくらいだという。今回の57CNA、57BNAでこだわったのは、鋳造ホイールとしての基本性能の高さに加えて、表面加工技術だ。鋳造ホイールで複雑な表面加工を行うと、工程も増えるため通常は高コストになり、デザインに凝るほど加工機械も特殊なものが要求される。

レイズは、これまでのダイヤモンドカット技術と、専用に開発した加工機械によるハイブリッドマシニングによって、スポーク表面とハブ部分とつながる部分の2面を同時加工するようにした。同時加工としたのは工程をシンプルにしてコストアップを抑えるためだ。専用の加工機械は特許を出願中だという。

型から取りだして研磨、塗装するだけでなく、洗練された表面加工が違う角度、部位に施されたプレミアムなデザインとなっている。これにより、「価格上昇を最小限に抑えつつ、海外メーカーが追従できないような処理を施したホイールを製品化できた」と加藤氏と語った。

レイズ グラムライツ・アズール 57CNA《撮影 雪岡直樹》 レイズ グラムライツ・アズール 57CNA《撮影 雪岡直樹》 レイズ 執行役員 加藤照幸氏《撮影 雪岡直樹》 これまでのダイヤモンドカット技術と、専用に開発した加工機械によるハイブリッドマシニングによって、スポーク表面とハブ部分とつながる部分の2面を同時加工《撮影 雪岡直樹》 レイズ 執行役員 加藤照幸氏《撮影 雪岡直樹》 レイズ グラムライツ・アズール 57CNA《撮影 雪岡直樹》 レイズ グラムライツシリーズ《撮影 雪岡直樹》 レイズブース(東京オートサロン2018)《撮影 雪岡直樹》 レイズブース(東京オートサロン2018)《撮影 雪岡直樹》 レイズ グラムライツ・アズール 57ANA《撮影 雪岡直樹》 レイズ グラムライツ・アズール 57CNA《撮影 雪岡直樹》 レイズ グラムライツ・アズール 57BNA《撮影 雪岡直樹》 レイズ 執行役員 加藤照幸氏《撮影 雪岡直樹》 レイズ グラムライツ・アズール 57ANA《撮影 雪岡直樹》 レイズブース(東京オートサロン2018)《撮影 雪岡直樹》