完成検査を無資格者が継続していたことについて「不徹底という以外、言い訳のしようがない」と説明する西川廣人社長(19日・横浜市)《撮影 中島みなみ》

工場出荷前の完成検査を無資格者が行ったことで、日産自動車の西川廣人社長が19日、再び緊急会見した。

無資格者による検査が、日産車体湘南工場だけでなく、日産自動車追浜工場、同栃木工場、日産自動車九州の4か所でも継続されていた。社内調査で判明したため、国内生産拠点6か所すべての国内向け生産を止めて、法令順守した形に是正することを決めた。輸出向けは引き続き生産を続ける。国内向けはすでに完成した車両も出荷も停止する。

「再開は非常に慎重にいきたい。2週間程度かかる」と西川氏は述べたが、問題は無資格者の検査だけはなかった。

完成検査を厳格に行うために、法令では検査エリア(テスターライン)を国土交通省に届け出る必要があるが、これも怠っていた。また、完成検査の項目の一部検査を、検査エリアとまったく関係のない部署に移して実施していた。その検査を正規の検査員以外が行っていた。生産停止後にテスターラインを定めたとしても、その後に国交省の承認を得る必要があるため、目論見通りに再生産できるかは日産独自では決められない。

さらに、完成検査が正規の手続きで終了していないことから、再発防止後に生産した車両約3万4000台について、工場に差し戻して再検査を実施するほか、すでにナンバーを取得した車両についてはリコールを検討している。再検査を実施する車両は4工場で約3万台、リコールを検討している登録車は4000台を見込んでいる。

検討されているリコールは、資格を持つ検査員が正常に完成検査を終了し、正しい検査終了証を発行するための再検査。すでに届け出た116万台と同じで、販売会社の指定工場で再点検を行う。「3万4000台は116万台と全く同じで、安心してお乗りいただける」と、西川氏は呼びかけた。

再検査とリコールにかかる費用を10億円と見込み、「インパクトは限定的である」(前同)と話した。

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