ソニーの2017年度第1四半期決算会見の様子。ひな壇中央が吉田憲一郎副社長《撮影 山田清志》

ソニーは8月1日、2017年度第1四半期決算を発表した。それによると、売上高が前年同期比15.2%増の1兆8581億円、営業利益が同180.5%増の1576億円、当期純利益が282.1%増の808億円と大幅な増収増益を達成した。

特に営業利益については、10年ぶりに過去最高を更新。これは半導体事業が大幅に改善したことによることが大きい。なにしろ、前年同期の営業損益が435億円の赤字だったのが、554億円の黒字と約990億円も改善しているからだ。稼ぎ頭のゲーム&ネットワークサービスが前年同期に比べて営業利益が263億円減少したが、半導体事業がそれを大きくカバーした。

半導体事業の好調は言うまでもなくモバイル機器向けのイメージセンサー販売数量の大幅増加で、売上高も1444億円から2043億円と41.4%も伸びている。しかも、イメージセンサーは今後も成長を期待できる分野だ。

吉田憲一郎副社長も「監視カメラ、ドローンなどでの需要も伸びている。工場のファクトリーオートメーションのほか、2019年以降にはなると思うが、車のセンシング機能などの分野でも着実に広まっていくと考えている」と話している。

ただ、吉田副社長には笑顔がなく終始厳しい表情で、「4〜6月期は最高益だったが、まだ3カ月。緊張感を持たないといけない」と気を引き締めていた。というのも、熊本地震などの一時的な費用を勘案すると、過去2番目の水準で、これまで4〜6月期に最高益だった07年度は通期で営業利益が5000億円に届いていないからだ。そのため、今期は同じ轍を踏みたくないと言ったところなのだろう。

「為替、金利、地政学的リスクも含めてマクロ環境の変動要因は大きい。先行きについては慎重に読んでいる」と吉田副社長は話し、通期の見通しについて、売上高を8兆円から8兆3000億円に上方修正したものの、営業利益5000億円、当期純利益2550億円を据え置いている。