プロが解説! 鍛造・鋳造アルミホイールの真実とベストバイ~カスタムHOW TO~

アルミホイールには大きく分けて2つの製法がある。それぞれ長所があるが、どうやって選べばいいのか。価格の高い鍛造ホイールだけが高性能とは限らない。鍛造、鋳造、それぞれに特徴がある。

◆軽量アルミホイールのメリット軽量なアルミホイールはその性能面でのメリットが多い。バネ下と呼ばれる、サスペンションよりもタイヤに近い部分だけに、軽量になるほどの足回りは動きやすく運動性能が上がる。また路面追従性も良くなるので乗り心地も良くなる傾向にある。

以前はノーマルホイールは鉄製が主流だったが、近年はアルミ製が増えているのも運動性能のアップや、バネ下の軽さから生まれる燃費の良さなどを狙ってのこと。

アフターパーツとしては見た目にも性能でもアルミホイールは大きな要素で、昔からカスタムやチューニングの重要パーツとして扱われている。

◆鍛造と鋳造、それぞれの特徴と違いそんなアルミホイールには大きく分けて鍛造と鋳造の2つの製法がある。純正ホイールのほとんどが鋳造製法。アフターパーツのホイールでも数多くは鋳造。こちらは鋳物であり、ドロドロに溶かしたアルミを型に流し込んで固めたもの。大量生産しやすいのでコストを抑えやすい。また、型にアルミを流し込むので細かい造形も作りやすく、凝ったデザインのホイールも作りやすい。

対するもうひとつの製法は鍛造。こちらはアルミの塊を温めてからプレス機で押しつぶす。数千トンから1万トン以上の力で押し潰す。それによってアルミの素材に鍛流線が生まれ、素材自体が粘り強くなる。素材自体が強くなるので鋳造に比べてよりアルミを薄く作ることができ、結果として軽量に仕上げることができる。

イメージで言うならお米を潰してお餅にしたような感じ。鋳造はお米を固めたおにぎりのような状態である。

軽く作るには鍛造製法が有利。しかし、1本ずつ時間を掛けてプレスしなければならないので生産に時間が掛かる。それだけコストは上昇する。プレス機も数千トンや1万トンを超えるものはかなりの設備が必要で、日本国内ではレイズ、TWS、BBSジャパンの3社しかホイール用プレス機を持っていない。

また鍛造は細かいデザインが苦手。プレスするのでその型から抜けなければいけないので、デザイン的な自由度があまり持てない。微妙なデザインはプレスしたあとに切削加工しなければならない。

もしくは、平らな型でプレスしてディッシュホイールを一旦作る。そこから切削加工でスポークを削り出していく方法もある。こちらはレース用ホイールなど少量生産が可能だが、鍛造の上に切削加工も時間が掛かるのでやはりコストが高くなってしまう。

◆実用面とリフレッシュの重要性軽さと強さなら鍛造製法が有利。レース用ではそのほとんどが鍛造製法で作られている。しかし、鋳造製法でもリムを押し潰しながら圧延する製法があり、スポーツ向け鋳造ホイールでは数多く採用されている。

こちらは運動性能に影響の大きい外周部のリムを圧延することで薄くでき、鋳造ながら比較的軽量に仕上げることができる。それでいてコストも抑えられると、性能と価格のバランスの良さが売りである。F1やスーパーGTでは鍛造ホイールが100%だが、市販車改造レースのスーパー耐久では鋳造ホイールも多く使われている。それだけ鋳造ホイールも進化しているのだ。

市街地走行では正直鍛造と鋳造の差がパフォーマンスとして現れることはほぼない。しかし、鍛造ホイールの方がリムやスポークが細く、スタイリッシュなデザインにしやすい。それは素材としての強さから生まれるものだが、鋳造ホイールは細かい造形が作りやすく、デザイン性の高さは鋳造ならではの部分もある。それぞれ長所があり、そのポイントが違うので、性能と価格、デザインなどで選ぶのもありなのだ。

最後にホイールは実は消耗品である。長い距離を走ると少しずつ歪んできたりするもの。徐々にバランスがズレて、バランスウェイトが増えていくこともある。目に見えて消耗していくものではないが、10万kmも使ったら徐々に性能は落ちていることがある。そういったこともあるので、たまにはリフレッシュを考えてみたいパーツでもある。

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