速度とアングルを追求する! ドリフト競技車両の最新トレンド〜カスタムHOW TO〜

意図的にリアタイヤを滑らせて、その角度やライン、煙や迫力などを競うドリフト競技。日本で生まれた自動車競技で、いまでは世界的に行われているモータースポーツである。

では、ちょっとドリフトをしてみようと思ったときに、実際どんなカスタマイズが必要になるのだろうか。

まず必須なのは当然だがリア駆動車を選ぶこと。FF車でサイドブレーキを駆使したドリフトもあるが、一般的にドリフト競技はリア駆動のクルマで行う。ミッションはオートマでもできなくはないが、競技となるといまだにほぼ100%マニュアル車で行われている。その前提の上でどんなカスタムをすればいいのか。

◆ドリフトに必要なカスタム1:LSDの装着
なにはなにくとも必要なのがLSD。クルマの駆動輪は左右からドライブシャフトが伸びていて、その中心にはデファレンシャルが装着されている。これは左右タイヤの回転数を吸収する構造で、内輪差を吸収できる。左右タイヤが1本のシャフトに接続されてしまうと、曲がるときに左右タイヤの回転差が吸収できなくて曲がりにくくなり、急にブレーキを掛けたようになってしまう。

そのデファレンシャル機構だが、その構造的にアクセルを踏んでタイヤが滑り出すと、滑った側のタイヤに駆動力がすべて行ってしまう。タイヤがグリップしているうちはいいが、多くの場合クルマがロールすることで内側タイヤの接地圧が低くなり、タイヤが滑り出してしまう。そうなると駆動力がすべて内側タイヤに行ってしまい、クルマは駆動力を失って失速。ドリフト状態を維持できなくなってしまう。

それを解消してくれるパーツがLSD。リミテッド・スリップ・デファレンシャルであるLSDは左右タイヤに駆動力を伝えてくれる構造。まずは、これがなければドリフト走行が維持できないのだ。

ちなみに「頭文字D」の藤原拓海のようにブレーキングドリフトでリアを流す分にはLSDはなくても可能。慣性でタイヤを滑らせているのでLSDがあってもなくてもできるが、そこからアクセルを踏んでドリフト状態を維持させるにはLSDが必要になる。

◆ドリフトに必要なカスタム2:パワーアップ
必ずしもパワーがなければできないわけではないが、ある程度のパワーが無いとタイヤをアクセルオンで空転させることができないので難易度がグッと上がる。『シルビア/180SX』のように200馬力以上あれば、とりあえずグリップの低いタイヤならドリフトしやすい。

理想的には300psで、しかも低中回転からトルクがあるとコントロールしやすいし、ドリフトからグリップが回復する「戻る」状態になったときにもトルクでまたタイヤを空転させることができるのでドリフトを維持しやすい。となると「AE86」や『ロードスター』では大幅なパワーアップが必須。しかるがゆえに、そのあたりのローパワー車でドリフトしていた猛者は上手いと言われていた。シルビア系などでもボルトオンタービンくらいへの交換が望ましい。

『フェアレディZ33/34』のような3.5L以上のNAエンジンはトルクフルなのでノーマルでも比較的ドリフトしやすい。D1GPやFDJのようなトップレベルのドリフトの世界では、とにかく高いグリップのタイヤを使ってタイヤと路面をグリップするようにして、その上でパワーとテクニックでタイヤを滑らせている。そのほうがより高速ドリフトや深いアングルのドリフトが可能になるからだ。そこでエンジンパワーは今や800psや1000psは当たり前で、1200psというクルマも現れているほどなのだ。

◆ドリフトに必要なカスタム3:冷却系のチューニング
ドリフトはアクセルをバンバン踏んでタイヤを滑らせていく。それでいてタイヤが滑っているのでそれほど速度は出ない。しかも、クルマはまっすぐに走らず、角度がついて滑っているのでラジエーターにまっすぐに走行風が入っていかない。

とにかく水温やエンジン油温の上昇が著しい。本格的な競技車両ではリアトランクにラジエーターを入れて、そこで大型ファンで強制的に風を当て続けるなどの水温対策がなされている。

ストリートカーでは大容量ラジエーター、ボンネットダクトなどしか対策がないが、少しでも水温や油温の上昇対策をしておきたい。

◆ドリフトに必要なカスタム4:切れ角アップ
これはハンドルを切ったときにタイヤがどこまで向きを変えるか。ドリフトではスピンを防いだり、より深い角度でドリフトするにはタイヤがいっぱい切れる「切れ角アップ」チューンが有効。

切れ角アップをしなくてもドリフト自体はできるが、切れ角がたくさんあったほうがドリフトしやすいのは間違いない。

競技系では流行りの社外アームを使うとタイヤは90度近く向きを変えてほぼ真横を向くようになる。そこまでタイヤが切れるからこそ、深いアングルでのドリフトが増えたのだ。

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