デンソー 林新之助COO撮影 佐藤耕一

大手部品メーカーのデンソーは10月26日、ジャパンモビリティショー2023のデンソーブースでプレスカンファレンスを開催した。今年4月に就任した林新之助 代表取締役社長 COOが登壇し、「自動車業界のTier1」から、社会全体を下支えする「モビリティ社会のTier1」へと進化すると宣言した。

◆林社長「BEV普及期の多様なニーズに応える」
まず、デンソーの主戦場であるインバーター、モータージェネレーター、バッテリーマネジメントシステムについて、林社長は「それぞれの部品を市場のニーズに応じて展開しつつ、今後はエネルギーマネジメントを連携させた大規模なシステムから、パワーモジュールといった部品まで、BEV普及期の多様なニーズに応える」と説明した。

また、このところ業界内で大きな存在感を示しているデンソーの半導体事業について、意欲的な目標が発表された。

林社長は、半導体事業の事業規模を2035年には3倍にすること、そして半導体関連会社のエヌエスアイテクス、およびオーバスの2社のデンソー本体への合併を発表した。「2030年までに約5000億円に上る積極投資を進め、2035年には事業規模を現在の3倍へと拡大する。また、生産拡大には材料の安定調達が不可欠であり、さまざまな企業との戦略的パートナーシップを構築する」。

「さらに、デンソーグループの半導体IP開発会社であるエヌエスアイテクス(NSITEXE)と、車載ベーシックソフトウェア開発会社である株式会社オーバス(AUBASS)をデンソーに合併し一体となることで、より付加価値の高い統合システムの開発を強化する」

プレゼンテーションの最後に、林社長は「デンソーがこれまで培ってきた「お客さまの真のニーズを理解する力」 「最適なアーキテクチャーを設計し、リアルに実現する力」をより進化させることで、モビリティ社会の Tier1として、パートナーをつなぐ架け橋になれると考えている」と締めくくった。

◆デンソーの技術をSFストーリーで体感
デンソーブースでは、大型液晶パネルやVRゴーグルを活用した体験型の展示ブースが展開されている。デンソーが持つ技術によって、どのように社会に貢献できるかを未来のSFストーリーに仕立て、そのストーリーを擬似体験して理解できるようにしたものだ。

ブースのコンセプトについて、同社広報渉外部 ブランド推進室 ブランドコミュニケーション2課の武政智之課長は次のように説明する。「ジャパンモビリティショーに来場されるのは一般の方が多く、いきなり技術の話をしても分かりにくいので、デンソーが持つ技術によって実現できる社会をSFストーリーにして、それを大型液晶パネルやインタラクティブな操作でストーリーを体感することで、理解いただけるような展示ブースを目指した」。

例えば、デンソーの車載用エッジコンピューティングユニット「Urban Moves Link」の技術を紹介するコーナーでは、「時速100キロのライブセッション」と題して、移動する車両からライブ配信をする人気アーティストにまつわるストーリーを、ヘッドフォンの立体音響を聞きながら体感するというものだ。

ライブの音楽と映像を、高速で移動しながら配信し、観客とメタバースで繋がるという演出を支えるのが、デンソーの車載エッジコンピューター技術である。「ここは、車を使った新しい音楽体験を提案するもので、箱型の車で移動しながらライブを配信するという未来のストーリーを通して、車と音楽の生み出すまったく新しい体験を体感していただく」と武政氏は説明する。

そのほか、シニアの方がアクティブに、クリエイティブに生きていくという未来を、同社の小型ドライブユニットやロボット技術がサポートする、というシナリオをゲームを進めながら理解する、といった展示もある。

このようなブースの構成について、同社広報渉外部 コーポレートコミュニケーション推進室 メディアコミュニケーション課担当課長の宮崎恵梨氏は、「新しいモビリティのある社会には、どんな幸せがあるのか、どんな楽しいことがあるのか、ということを少しでも皆様に感じていただきたい」と語った。

2040年までEVやPHEVの増加撮影 佐藤耕一 時速100キロのライブセッション撮影 佐藤耕一 車載エッジコンピューティングユニット Urban Moves Link撮影 佐藤耕一 父と娘のストーリーの体験型展示を楽しむ来場客撮影 佐藤耕一 スイカ農家のストーリーの体験型展示撮影 佐藤耕一 スイカ農家のストーリーの体験型展示撮影 佐藤耕一