ロールスロイス・ドーン《photo by Rolls-Royce》

ロールスロイス・モーターカーズ(以下、ロールスロイス)は5月2日、2ドアオープンカーの『ドーン』の生産を終了した、と発表した。ロールスロイス史上、最も多く販売された「ドロップヘッドクーペ」(オープンモデル)になるという。

◆2015年にネーミング復活によって登場
ドーンは、ロールスロイスの伝統のネーミングだ。その名前が、初めて使われたのは、1949年。1950〜1954年には、28台のドロップヘッドボディを生産した。その後、1997年には、『シルヴァースピリット』の後継車に、『シルヴァードーン』の名前が付された。

2015年にネーミング復活によって登場したドーンは、クーペの『レイス』のオープン版(いわゆるドロップヘッドクーペ)として発表された。室内は2+2レイアウトとし、ソフトトップは全自動で開閉できるようにした。

車名のドーンとは、夜明けを意味する。それは、一日が始まるたびに訪れる新たな時間であり、目覚めの時であり、人々の感覚が解放される時であり、また一番初めに注ぎ込まれる日差しでもある。ロールスロイスはドーンの車名に、一日の始まりを迎える情熱を呼び起こすという意味を込めた。ボディサイズは全長5295mm、全幅1945mm、全高1500mm、ホイールベース3110mmだ。

◆6層構造のソフトトップで静粛性を追求
レイスに対して、ドーンはフロントグリルをおよそ45mm後退させた。その一方、フロントバンパーの下部分は、レイスに対して53mm延ばされた。ロールスロイスは、ドーンに独自性を与えるデザインを採用した。

ドーンのパワートレインは、直噴6.6リットル(6591cc)V型12気筒ガソリンツインターボで、最大出力571ps/5250〜6000rpm、最大トルク83.6kgm/1600〜4750rpmを引き出す。トランスミッションは8速ATだ。ドーンの車両重量は2640kgあるが、0〜100km/h加速5.0秒、最高速250km/h(リミッター作動)の性能を可能にしていた。

ドーンには、6層構造のソフトトップを備えている。ロールスロイスによると、世界で最も静かなコンバーチブルのひとつという。全自動のソフトトップはおよそ22秒で開き、シートとデッキエリアが現れる。ハードトップのレイスと比較しても、遜色ない遮音性により、車内は静粛性が保たれるという。

◆V12ツインターボを593psに強化した「ブラックバッジ」
2017年には、このドーンに「ブラックバッジ」が設定された。ロールスロイスのメイン顧客層よりも、下の年齢層にアピールするのが、ブラックバッジとなる。

ドーンのブラックバッジは、車名が意味するように、ボディカラーはブラックをメインとした。ボンネット先端のスピリット・オブ・エクスタシーも、グロスブラックで仕上げた。ソフトトップはブラックのみとなり、リアデッキはブラックレザーで仕上げられた。

直噴6.6リットルV型12気筒ガソリンツインターボエンジンはパワーアップし、最大出力593psを獲得した。最大トルクは85.6kgmで、1500rpmの低回転域から引き出される。ドーンのブラックバッジは、0〜100km/h加速は4.9秒、最高速は250km/h(リミッター作動)の性能を発揮した。パワーアップに対応して、サスペンションやブレーキは強化されている。

◆1920年代の伝説的なロードスターに着想の2シーター版「シルバー・バレット」
2020年8月には、ドーンに世界50台の限定車として、「シルバー・バレット」が発表された。1920年代の伝説的なロードスターからインスピレーションを得て、ドーンの後席を廃止し、2シーター化した。後席部分には、チタン素材のエアロカウリングを採用する。

エアロカウリングとは、トノカバーを指す。リアシートをリアデッキから延びたトノカバーで覆うことにより、大人4名を快適に包み込む4シーター車のドーンを、伝統的なロードスターのリアスタイルを模して、滑らかな2シーターモデルに変身させた。

また、エアロカウリングを取り付けたことにより、ロードスターらしい洗練されたデザインを味わうことができるだけでなく、幌を開けた際の運転席や助手席への風の巻き込みを軽減し、より快適な走行を楽しむことができるという。

◆エアロカウリングにはチタン素材を使用
このエアロカウリングには、高剛性かつ軽量なチタン素材を使用している。また、左右のカウルの間の部分が見えるように設計されている。カウリングはスタイリッシュなデザインで、それぞれのカウルには、鍵付きの小物入れスペースが設けられていた。

シルバー・バレットのボディカラーは、車名が意味する通り、シルバーメタリックのビスポークペイントが施される。このボディカラーは、ブリュースターシルバーと命名された。インテリアには、オープンポアのカーボンファイバー製パネルを装備する。レザージャケットからデザインのヒントを得て、キャビン中央のトランスミッショントンネルには、専用のキルティング加工が施されていた。

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