ベントレーのW12気筒ガソリンエンジン《photo by Bentley》

ベントレー(Bentley)は2月22日、W12気筒ガソリンエンジンの生産を、2024年4月をもって終了すると発表した。

◆バトゥールにはW12史上最強の750ps版を搭載
英国クルー本社の「ドリームファクトリー」でハンドビルドされるW12気筒ガソリンエンジンは、ベントレーを象徴するエンジン。最終的な生産累計は10万基を超える見通しだ。

ベントレーは2030年までに、全ラインアップを電動化し、車両平均のCO2排出量をゼロとする「ビヨンド100」戦略を掲げている。W12気筒ガソリンエンジンの生産終了は、持続可能な未来に向けたベントレーの取り組みがさらに加速することを意味しているという。

2002年に誕生したW12気筒ガソリンエンジンにふさわしい最後の花道を用意しようと、ベントレーはこのほど、過去最強バージョンのW12の開発を終えた。改良を重ね、最終形となったエンジンは、最大出力750ps、最大トルク102kgmを獲得する。まずは、マリナーが18台限定で製作する『バトゥール』に搭載される予定だ。

◆バトゥール以外のW12搭載車は最大出力659psに
最強バージョンのエンジンは、過酷な耐久試験を経て、これまで同様の高い信頼性が証明されている、と自負する。今後、バトゥールに続いて、『コンチネンタルGT』と『ベンテイガ』、『フライングスパー』の各「スピード」モデル、コンチネンタルGTとフライングスパーの各「マリナー」モデルに、W12エンジン搭載車が用意される。これらのモデルのW12は、最大出力が659psになる。ベントレーによると、完売のバトゥール以外のW12エンジン搭載車は、若干台数の受注が可能という。

W12エンジン搭載モデルの受注は、2023年12月に終了する予定だ。W12エンジンは職人達によって1基につき6時間30分の時間かけて手組みされた後、3台の専用診断機で1時間以上かけて入念な試験が実施される。毎週1基のエンジンに対し、さらに徹底的なテストが実施され、テスト後は分解と検査が行なわれる。

ベントレーは、英国クルー本社のカーボンニュートラル工場でW12エンジンを1基ずつ手組みし、試験している熟練工30名を再訓練し、全員を配置転換する計画。一方、W12エンジンの生産施設は、プラグインハイブリッド車(PHEV)向けエンジンの生産ライン拡充のために、利用される予定だ。

◆かつてない高出力と高トルクを実現するためのチューニング
マリナーのエンジニアリングチームは、最後にして最強となるW12エンジンを開発するため、吸気、排気、冷却の各システムを見直し、かつてない高出力と高トルクを実現した。ターボチャージャー用コンプレッサーは設計を新たにして効率を向上し、コンプレッサーに空気を供給するダクトは33%大型化。新エンジンの吸入空気量は、最高出力時に1時間あたり1トンを超える。

大型化したインタークーラーは深さが10mm増し、コアには新たなジオメトリが採用された。加圧された吸気から除去される熱量が従来より35%以上増えたため、吸気温度が低下し、空気密度を高めて出力を向上できるという。

トルクの向上は、新しいインテーク・ターボチャージャーシステムと、大幅刷新したエンジンキャリブレーションとの組み合わせによって実現した。また、エンジンシステムにトランスミッションの新キャリブレーションを組み合わせて、出力とトルクをさらに引き出し、優れたドライビングを可能にした、としている。

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