生産が開始されたドゥカティの電動バイク「FIM Enel MotoEワールドカップ」参戦プロトタイプ《photo by Ducati》

ドゥカティは1月16日、「MotoGP」の電動クラス「FIM Enel MotoEワールドカップ」(MotoE)に供給する電動バイク、ドゥカティ『MotoE』の生産を開始した、と発表した。

◆合計23台のマシンが2月中旬までに完成する予定
ドゥカティは2023年から、同レース唯一の公式車両サプライヤーになる。契約は2026年まで。ドゥカティは、2023年から4シーズンにわたって、MotoEワールドカップ用のマシンを供給する。

合計23台のマシンは、2月中旬までに完成する予定だ。レースに参加する18台のバイクに加えて、5台のスペアユニットが生産される。コードネーム「V21L」の名前が与えられた各プロトタイプは、ドゥカティのMotoEレーシング部門の専門技術者によって、MotoGPバイクと同様の高度な職人技とプロセス、精度、細部への注意を払って、組み立てられている。

MotoEに出場するライダーとチームによる最初のテストは、3月6〜8日にヘレスで予定されており、続いて 4 月3〜5日にバルセロナのモントメロサーキットにおいて、3日間のテストが計画されている。レースデビューは、5月13日のフランスGP。フランスでのデビュー後、MotoEのヨーロッパの全レースに参加する予定だ。

◆150psモーターを搭載し最高速は275km/h
モーターは最大出力150ps、最大トルク14.3kgmを引き出す。モーターの重量は21kgで、最大回転数は1万8000rpm。ドゥカティの技術仕様に従って、パートナーが開発した。イタリアのムジェロ・サーキットにおけるテスト走行では、最高速が275km/hに到達した。

5kgの軽量インバーターは、EVレースで使用される高性能モデルから派生したユニットだ。システム電圧は800V。電動パワートレインの出力を最大限に発揮して、パフォーマンスと航続の最大化を追求している。バッテリーパックの重量は110kgで、蓄電容量は18kWh。リア部分には、出力20kWの充電用ソケットが設置された。その内部には、円筒形セル1152個が格納されている。

冷却システムにより、過酷な走行条件でも温度が一定に保たれ、パフォーマンスや充電時間の点でもメリットをもたらす。ドゥカティMotoEはピットに入るとすぐに充電可能で、約45分でバッテリーを80%まで充電することができるという。

◆将来の市販電動バイクにMotoEの技術を導入へ
シャシーの面では、リアにMotoGPに参戦している「ドゥカティ・デスモセディチ」に似た形状のアルミ製スイングアームを採用した。重量は4.8kg。テール部分とライダーシートを統合したリアのサブフレームは、カーボンファイバー製だ。ドゥカティMotoEの総重量は、225kgとした。

レースの世界で開発された技術を、製品ラインナップに移植することにより、ドゥカティは高性能なモーターサイクルを市販することを可能にしてきた。FIM Enel MotoE ワールドカップもこの点で例外ではなく、参戦するマシンを製作することで、スポーティで軽量かつパワフルな電動バイク向けテクノロジーとテスト方法を開発することができるという。

ドゥカティは、2030年までに電動化モデルを製品ラインナップの主力に位置付ける「New Auto」戦略を掲げるフォルクスワーゲングループの一員だ。この戦略は、電動パワートレインへと変化を遂げるための最善の道筋を示している、としている。

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