音の出口が入り口…トヨタ 86 前編[カーオーディオ ニューカマー]

以前から乗りたかったトヨタ『86』を手に入れた坂本さん。ノーマル状態で手に入れたクルマは自分流のカスタムを施すことが前提だった。最初に手がけたのはオーディオのインストール。父であるLCサウンドファクトリーの坂本代表を手伝ってカスタムがスタートした。

◆ノーマルの86を手に入れて最初に手がけたのは
高音質化を狙ったオーディオのカスタムインストール
今回登場するニューカマーは栃木県のプロショップであるLCサウンドファクトリーの代表・坂本さんのご子息である俊さん。子供の頃から父の作業を見たり、ショップに出入りするハイレベルなオーディオカーを見て育った、ある意味、英才教育を受けたオーディオユーザーと言える。

そんな竣さんが学生時代最後の1台として手に入れたのがトヨタ86。この春に就職するので学生時代の思い出に思いっきりカスタムするつもりで大好きなクルマを導入したという。

「それまでは家族のクルマには乗っていましたが、完全なノーマルで乗り始めたのはこの86がはじめてです。ノーマルの86を見ていると“オーディオをカスタムしてみたい”と思ったんです」

音楽好きな俊さん、自宅のクルマにはLCサウンドファクトリーの手によるオーディオインストールが施されていたので気にならなかったが86は純正オーディオだったためカスタムが必要だと感じる。

「乗り始めると純正オーディオではもの足りなくて、すぐにオーディオをなんとかしたいと思い始めたんです。こうして自分のクルマでオーディオのプランを一から考えることを始めました」

子供の頃からショップでレベルの高いオーディオカーを見てきた竣さんだけに、愛車のオーディオカスタムは当然の流れだったようだ。

◆スピーカー取り付けを父子でインストール開始
プロのワザを間近で見てそのレベルの高さに驚く
「念願だった86を手に入れて、いろいろなカスタムを考えていたんですが、真っ先にやりたと思ったのがオーディオでした。クルマを買って1週間後にはスピーカー交換を実施したほど。とにかく早く自分流のクルマに仕上げていきたいと思っていました」

真っ先に交換を実施することにしたのはスピーカー。音の出口を変えることでサウンドをグレードアップできることは俊さんもよく知っていた。選んだユニットはロックフォードのハイエンドモデルであるT5。いきなりハイエンドモデルを用いるところも、オーディオの豊富な知識を持っている竣さんならではだった。

「ロックフォードは音のイメージも良かったので決めました。パンチのあるサウンドを引き出せると思いました。これを使って最初のオーディオグレードアップをしたいと思ったんです」

スピーカーの取り付けは父である代表の坂本さんが手がける。しかし俊さんも愛車のインストールであることからできる部分は手伝うという父子で協力してのインストールが始まった。

「ツイーターはAピラーに取り付け、ミッドバスはドアにアウターバッフル化することに決めました。バッフルは音にこだわってアルミにしようと考えました。基本的には父がインストールを実施、パテやファイバー処理、レザー張りなどは僕も部分的に手伝ってカスタムしていったんです。しかしプロのインストーラーが作業しているのを間近で見ていると、そのレベルの高さを思い知りました。作業を手伝ったからこそわかる技術力の高さは想像以上でした、一緒に作業できて良い経験になりました」

インストール作業を父子で実施したことで、あらためてプロの技術レベルの高さを思い知った竣さん。作業を手伝うことで父のインストールテクニックの確かさも感じる。父子で一台のクルマを作り上げることは二人の距離を近づけ、お互いをより深く知るために良い経験になったようだ。

◆他のクルマと愛車を比較することで見えてきた
“足りないもの”を補うためにDSP導入を決意
高音質化にはスピーカー交換が急務だと考えていた俊さん、すぐさまロックフォードのT5を取り付けると見違えるような高音質になり満足度は非常に高かったという。

「T5を取り付けると音は激変しました。迫力がすごい、音の質感も断然アップして感動するほどの音質アップでした。音の出口であるスピーカーの交換って、ここまで効果があるんだと痛感しました」

しかし、この音が竣さんにとってはオーディオに魅了されていくスタート地点になった。

「それからは積極的にショップのデモカーやお客さんのクルマを聴かせてもらったりするようになったんですが、自分のクルマとは何かが違うんです。86も良い音なんだけどどこかもの足りなく感じていたんです」

愛車と他のクルマの違い比較して思い当たったのがDSPだった。スピーカー交換に加えて、次なるシステムアップを考えた時にDSPの導入は狙ったサウンドを完成させるには欠かせないと感じていく。

「自分のクルマに足りないのはDSPだと思ったんです。そこで次なるシステムアップにはDSPの取り付けを考えました。選んだDSPはロックフォードのDSR1、さらにパワーアンプはザプコ、サブウーファーにはロックフォードのP1を一気に追加したんです。そうすると帯域のバランス、定位、フォーカスの整った音など、現時点での理想に近い音ができ上がりました」

DSPがきっかけになって、一気にシステムアップをこなしバランスの良いシステムを作り上げた竣さん。ここからはさらにレベルの高い音を目指しはじめる。

「かなり音が良くなってきたのを体感したんですが、そこでもっと生音に近いサウンドを聴きたくなってきたんです。まさに“そこにボーカルがいる”感覚を車内で味わいたいと思ったんです」

スピーカー交換に始まった俊さんのオーディオシステムアップ。オーディオインストールを手伝ったことで絆が強まった父子の関係もあり、オーディオの楽しさを濃密に味わった竣さん。後編ではDSP調整の世界も経験することになり、さらなら高音質を目指していく姿を紹介しよう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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