シトロエン 2CV AK(フルゴネット)《写真撮影  内田俊一》

シトロエン『2CV』に乗るオーナーを中心とした2cv camping 2022 秋が、11月19日から20日にかけて開催された。

今回で4回目となるこのキャンプは、長年2CVに乗っている友人同士の会話から始まったそうだ。「その友人がキャンプ場を始めるというので、ほかの2CVに乗っている友人たちに声をかけてキャンプをしよう」。一方で、2CVに乗っている人たちが果たしてキャンプに参加してくれるか心配だったとも。しかしいざ蓋を開けてみると、17台の2CVとその友人たちが参加した。そして次は二十数台と増えていき、今回は2CVが35台、それ以外のクルマを合わせると45台が集まった。「参加した友人たちが、とても楽しかったとほかの2CVに乗っている友人たちに声をかけて、口コミで広がって行っている」と楽しそうに語ってくれた。

今回も、お昼過ぎから会場となるキャンプベース安中榛名(群馬県安中市)には続々と2CVが到着。受け付けを済ませると、早速各自のスペースでテントを張り、思い思いの設えを始めていたが、皆の手が止まるひと時があった。

それは1962年の『2CVサハラ』の見学会だ。このクルマは前後にエンジンを搭載する、いわばツインエンジンで、それぞれのエンジンが前後のタイヤを駆動する4WDでもある。日本で実際に動く個体はもしかしたらこの1台かもしれないそのクルマを実際に見る機会は、さすがに2CVに乗っている人たちでもまれなこと。今回の参加車で最も古い1955年のAZと呼ばれる12馬力と同じエンジンを前後に搭載。また、等速ジョイントは2CVのものではなく、『アミ6』のもの(ダブルカルダン)を使用しているそうで、そういった違いを実際に見ることができるのはここでしかないだろう。

そんなことをしているうちに、夕暮れ。あちらこちらからいい香りが漂ってくる。それぞれのテントで夕餉の始まりだ。そこにほかのテントから友人たちが集まり、また、別のテントにおすそ分け。そうして交流がどんどん広まっていく。自然の暗闇の中、ランタンのほのかな灯の中での会話は温かいものばかり。しかも2CV以外のクルマに関することから、ファッションや食べ物、フランスの文化や映画と果てしなくその内容は広がっていく。聞くとある会社の役員だったり、デザイナーの卵だったり、老若男女、様々な職種の方達ばかり。

ただ2CVに乗っているというだけでここまで会話が盛り上がれるものか。それを主催者に聞いてみると、「2CVはいわば大衆車。そのクルマを気に入って乗っている人達なので、ほとんどの人が見栄を張ったり、必要以上に格好良く見せたりしようという人がいない。価値観が似ているのだろう」と教えてくれた。

幸いにも酷く冷え込むことも、そして心配された雨もなく2CVとともに過ごす夜は温かく更けていった。

シトロエン 2CVドーーリーが受付場所《写真撮影  内田俊一》 着々と到着するシトロエン 2CVたち《写真撮影  内田俊一》 左から順にシトロエン 2CV AZ(1955)、サハラ(1962)、AZA(1963)《写真撮影  内田俊一》 急坂をものともせずにキャンプ場に到着するシトロエン 2CVたち《写真撮影  内田俊一》 背中にも荷物がしょえるように工夫しているクルマも《写真撮影  内田俊一》 2cv camping 2022 秋《写真撮影  内田俊一》 2cv camping 2022 秋《写真撮影  内田俊一》 2cv camping 2022 秋《写真撮影  内田俊一》 2cv camping 2022 秋《写真撮影  内田俊一》 愛5というナンバーのAZA(1963)。18馬力をものともせず名古屋から自走で参加。《写真撮影  内田俊一》 シトロエン 2CVサハラのリアエンジン《写真撮影  内田俊一》 シトロエン 2CVサハラ《写真撮影  内田俊一》