トヨタがマニュファクチャラーズタイトル獲得を決め、“全冠制覇”達成(中央のマシン#69は、ドライバーズ&コ・ドライバーズチャンピオンコンビのマシン)。《Photo by TOYOTA》

2022年世界ラリー選手権(WRC)第12戦スペインが現地10月23日にフィニッシュし、トヨタの2年連続マニュファクチャラーズタイトル獲得が決まった。最終戦ジャパンを前に、トヨタは2年連続のWRC“全冠制覇”達成となっている。

「トヨタ・GRヤリス・ラリー1・ハイブリッド」で今季2022年のWRC最高峰カテゴリーを戦っているトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team=TGR-WRT)は、最終戦ひとつ前の第12戦スペインをマニュファクチャラーズタイトル獲得決定が濃厚な状況で迎えていた。そして実際、スペイン戦はトヨタの王座決定が確実な流れで推移していく。

最終ステージの途中段階、トヨタ(TGR-WRT)勢3台のうち2台がゴールを成した時点の順位関係等からヒョンデ(HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Team)逆転戴冠の可能性が消滅したとされ、トヨタの2年連続マニュファクチャラーズタイトル獲得が決定した。その後、セバスチャン・オジェの優勝も決まり、トヨタはシーズン7勝目をマーク、タイトル獲得を優勝で飾る最高のかたちになっている(今季はパートタイム参戦の前年王者オジェは今季初優勝)。

◆マニュファクチャラーズタイトル獲得は通算6回目
トヨタ勢ではカッレ・ロバンペラのドライバーズタイトル獲得、その相棒ヨンネ・ハルットゥネンのコ・ドライバーズタイトル獲得がいずれも既に決まっており、昨季2021年に続きトヨタは“全冠制覇”を達成した。なお、トヨタが2017年にワークス参戦を再開して以降、マニュファクチャラーズタイトルを獲得したのは2018年を含めて今季が3回目である(1990年代に3回の獲得があり、通算6回目)。

トヨタの豊田章男社長(TGR-WRTのチームオーナー)は、今回のラリー後の談話のなかで「チームのみんな、マニュファクチャラーズチャンピオンおめでとう! 昨年同様にドライバーズ、コ・ドライバーズ、マニュファクチャラーズの全てのタイトルを獲ってくれて本当に嬉しく思います。そしてなにより、(今季デビューの)GRヤリスがトリプルチャンピオンカーになったことが嬉しくて仕方がありません。みんなに心から感謝します!」と語っている。

日本の勝田貴元(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generation / GRヤリス・ラリー1・ハイブリッド)は、今回のスペイン戦7位。ドライバーズポイントランキングでは現在5位につけている。最終戦で好結果を得れば4位に上がれる可能性もあるが、現在6位のオジェが最終戦にも参戦予定なので、勝田にとってはランキング5位死守が現実目標となってきそうだ。

◆ひさびさの日本戦で勝利なるか
今季のWRCは、いよいよ最終戦(第13戦)ジャパンを残すのみ。愛知・岐阜での初開催、日本戦としては2010年以来の復活実現ということになる「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」は11月10〜13日に開催される。こうして最終戦前にタイトル全冠制覇を成しただけに、トヨタにとっては最終戦での“母国勝利”が今季を最高のシーズンとするための必須要素になった、といえるかもしれない。注目の一戦になる。

(*本稿のリザルト等は日本時間10月24日午前8時の段階の情報に基づく。一部、手元計算を含む)

スペイン戦優勝とマニュファクチャラーズタイトル獲得を喜ぶトヨタ陣営。《Photo by TOYOTA》 スペイン戦優勝の#1 オジェ組(GR Yaris Rally1 HYBRID)。右がオジェで、左がコ・ドライバーのB.ヴェイラス。《Photo by TOYOTA》 スペイン戦7位の#18 勝田貴元(GR Yaris Rally1 HYBRID)。《Photo by TOYOTA》 勝田は現在ドライバーズランキング5位につけている。《Photo by TOYOTA》 ヒョンデの「i20 N Rally1 HYBRID」(#11 T.ヌービル / スペイン戦2位)。《Photo by Red Bull》 Mスポーツ・フォードの「Puma Rally1 HYBRID」(#16 A.フォルモー / スペイン戦8位)。《Photo by Red Bull》 トヨタはジャパン凱旋へ。そしてさらなる栄誉、母国制覇を狙う。《Photo by TOYOTA》