マセラティグレカーレ・ミッションフロムマース《写真撮影  内田俊一》

マセラティジャパンはユーザー向けのカスタマイズプログラム、フォーリセリエに力を入れていくことを発表した。

◆古か未来か
マセラティは1914年に設立されたメーカーで、当初はプラグメーカーとしてスタートしたものの、第一次大戦後レースが再開されるとそれ以前から着手していたエンジン開発を加速。いくつものレースやヒルクライムに優勝しその名を馳せるまでになる。その後自らもレーシングカーを開発し完成したのが1926年だった。「当時は量産前提ではなく、1台1台カスタマイズされたクルマ(レーシングカー)だった。今回スタートさせるマセラティフォーリセリエも、当時のカスタマイズというDNAを受け継ぎ、想像力や大胆なデザインを具現化するもの」とコメントするのは、マセラティジャパンアジアパシフィック&ジャパンプロダクトマーケティングマネージャーの山本文吾氏だ。

そのためには大きく3つの要素があるという。「まずはスタイリッシュ。大胆なデザインとお客様の要望を組み合わせることにより、ほかにはない、唯一無二なデザインを作り上げることができる」。次は、「オーセンティック。イタリアブランドなので、イタリアの信頼できる素材や製法を用いた特別なプログラムで、100%マセラティの自社工場でパーソナライゼーションを行う。そして3つ目はインヴォルヴメント。“真摯な会話”と解釈するが、このプログラムの真の価値を発揮するには、お客様の好みに合わせて(つまりじっくりと話し合いながら)ひとつひとつ、テーラーメイドのように作るといったプログラムを用意している」と説明。

マセラティのフォーリセリエはこのような要素を踏まえながらシステムが構築されているが、その内容は大きく2つに分けられる。そのひとつは、サルトリアと呼ばれるもので、「昨年、モデナでアトリエとして開設。お客様はそのアトリエに足を運び、特別なクルマを作るもの。いわゆるメニューにはないものを素材や色から作り上げていく。まさに『グレカーレミッションフロムマース』のようなクルマだ」と語る。さらに現在モデナにしかないサルトリアのアトリエだが、「将来的には日本を含めアジアパシフィックの中にも同じような機能を持つ拠点を設置することを検討している」と明かした。

そしてもうひとつはマセラティの時間軸で構成した“コルセ”と“フトゥーラ”だ。まずコルセは、「マセラティのヘリテージでもあるモータースポーツ(=コルセ)。その当時の色や素材を現代の解釈で表現。マセラティのいまのクルマ自体のデザインと融和した内容になっている」と山本氏。「かつてレーシングカーがデザインされていたカラーリングを踏襲。その塗料であったり、素材をもとに現代の解釈が含まれている」という。

そしてフトゥーラは、「英語でいうフューチャー。いまのモダンなデザインだけでなく、将来的なデザインを表現している」と述べ、その特徴は、「サステナビリティや機能性を意識したもの」と解釈しているとのことだ。例えば、「実験的に色を組み合わせているようなものや、将来を提案する未来的なデザインを作るのがフトゥーラだ」。そして、「ちょっと見ると過激的なところもあるかもしれないが、特に素材の良さを生かす色を使った組み合わせが、このフトゥーラの特徴になっている」とその特徴を説明。

なお、フォーリセリエのプログラムはMC20をはじめとしてグレカーレなど、全ラインナップで展開されるという。

また、『MC20チェロ』は、エクステリアカラーを中心とした一部のプログラムはすでに案内可能だが、インテリアの組み合わせや、ホイール、ブレーキキャリパーなどは2023年以降の展開を予定。グレカーレは、2023年以降に具体的なプログラムの内容を提案できるよう準備が進められている。

◆日本ユーザーにはフォーリセリエの潜在力がある
ここからはもう少し細かく話を伺ってみたい。

----:今回日本でフォーリセリエを展開する目的は何でしょう。

マセラティジャパンアジアパシフィック&ジャパンプロダクトマーケティングマネージャーの山本文吾氏(以下敬称略):マセラティはそもそもモデル数が少ないですし、モデルサイクルが長いメーカーです。そこに新しくグレカーレが投入されますので、このクルマでフォーリセリエを訴求するというのが、今回の大きな目的です。

本国では既にフォーリセリエは発表されています。現在日本ではお客様に向けて商談できる体制を整えている準備期間で、実は本国もそれに近い状況のようです。

----:そうすると日本はグローバルで見て先駆け的な存在ですね。

山本:そうですね。日本市場において、マセラティをお選びいただくお客様の中には潜在層も含めて、自分の好きな組み合わせをしたいというお客様が多いのは特徴だと思います。ですのでオーダー件数というよりも、オーダーの内容に関していいモデルケースになっていると思います。

----:どのくらいの割合でフォーリセリエがオーダーされると予想していますか。

山本:狙うところはマセラティジャパン全体の3%から5%ぐらいです、マセラティはもともとカタログ内で、例えばインテリアの組み合わせなどの選択肢が幅広いのです。ほかのブランドのインテリアですと、例えばスポーツモデルであれば、グレーかブラックのどちらかだけどか。しかしマセラティはブラックではあるものの、シートはブルーやレッドなどのステッチが選べたり。

----:とにかくベースのオプションが多彩なのですね。

山本:はい。いま、モノの値段が上がっている中で、少しでもクルマの価格を下げるために工場でできる組み合わせを減らして、今回のような特別なフォーリセリエなどのコンテンツを増やしていこうという動きは少しずつ見られるようになってきているのです。

----:そこを超えた特別注文、例えば自分でデザインしたエンブレムとかのオーダーができるようになるとさらに楽しそうですね。

山本:多分、それはどちらかというと、去年から始まったサルトリアで行われるものになるでしょう。将来的に日本を含めたAPACの中のどこかで、そういった機能を持たせた場所を作りたいと思っています。

今後、クルマは2極化していき、真ん中の生き残りは難しくなっていくとよくいわれています。その中で、上の方(高級、特別なクルマ市場)で生き残っていくためにはこういった個性を表現できるプログラム、デザインというのは強みになると考えています。

マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパンアジアパシフィック&ジャパンプロダクトマーケティングマネージャーの山本文吾氏《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》 マセラティジャパン フォーリセリエ《写真撮影  内田俊一》