フォルクスワーゲンの米国テネシー州チャタヌーガ工場で生産を開始した ID.4《photo by VW》

フォルクスワーゲングループ(Volkswagen Group)は7月26日、米国テネシー州チャタヌーガ工場において、新世代EV『ID.4』の生産を開始した、と発表した。フォルクスワーゲンが、EVを米国で現地生産するのは初めてだ。

◆EV生産における北米の中核拠点がチャタヌーガ工場
フォルクスワーゲングループは、米国テネシー州チャタヌーガ工場に約8億ドルを投資し、ID.4の生産に向けて準備してきた。フォルクスワーゲンは現在、チャタヌーガ工場において、中型SUVの『アトラス』を組み立てている。同社は今後、チャタヌーガ工場を、EV生産における北米の中核拠点に位置づける。

ID.4は、フォルクスワーゲングループで最も人気のあるEVだ。2021年の発売以来、世界中の顧客に合計およそ19万台が納車された。チャタヌーガ工場は、フォルクスワーゲンのEVを生産する世界で6番目の拠点となった。

フォルクスワーゲンは、チャタヌーガ工場でのID.4の組み立てを、2022年第4四半期(10〜12月)、ひと月あたり7000台に増やすことを計画している。2023年には、生産量をさらに増やすことを目標に掲げる。同工場製のID.4は、早ければ2022年10月から納車される予定だ。

◆1回の充電での航続は最大450km
ID.4は、スポーティかつオールラウンドな性能を追求した。米国向けID.4 の「RWD Pro」と「RWD Pro S」グレードの場合、リアアクスルに搭載されたモーターは、最大出力201hp、最大トルク31.7kgmを引き出す。

「AWD Pro」と「AWD Pro S」グレードの場合、フロントアクスルに最大出力107hp、最大トルク16.5kgmのモーターを追加する。リアアクスルのモーターと合わせて、システム全体で最大出力295hp、最大トルク46.9kgmを引き出す。AWD Pro グレードの場合、0〜96km/hは5.7 秒の性能を発揮する。

バッテリーは蓄電容量が82kWh。バッテリーは低重心化のために、キャビンのフロア下にレイアウトされた。電動4WDと210mmの最低地上高により、整備されたオフロードでは優れた性能を発揮するという。

1回の充電での航続は、米国仕様の場合、RWD Proが280マイル(約450km)、RWD Pro Sが268マイル(約431km)、AWD Proが251 マイル(約404km)、AWD ProSが245マイル(約394km)とした。

◆急速充電ステーションでの充電時間を短縮
DC急速充電ステーションでの充電出力を125kWから135kWに引き上げ、充電時間の短縮が図られた。また、全米のDC急速充電ネットワークとして、フォルクスワーゲングループが設立した「エレクトリファイ・アメリカ」において、3年間無制限の30分間充電パッケージが無償付帯する。

フォルクスワーゲンの顧客は、エレクトリファイ・アメリカのアプリを通じて、充電を管理できる。急速充電ステーションでの認証が簡単に行えるプラグ&チャージ機能をオプション設定し、エレクトリファイ・アメリカでの充電を簡素化する。

エレクトリファイ・アメリカは現在、全米に800か所のEV向け急速充電ステーションと約3500基の急速充電器を擁する。同社は2026年までに、米国とカナダで、充電ネットワークを現在の2倍以上に増やす計画だ。この計画が実現すれば、急速充電ステーションは1800か所、急速充電器は1万基に拡大する、としている。

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