フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》

フォルクスワーゲンは5月20日、新型EV『ID.Buzz』の商用バージョン「ID.Buzzカーゴ」(Volkswagen ID.Buzz Cargo)の予約受注を欧州で開始した。ドイツ本国でのベース価格は、乗用モデルよりも約1万ユーロ低い5万4430ユーロ(約737万円)と発表されている。

◆前席と荷室の間に固定式のパーティションを装備
ID.Buzzカーゴでは、エアロダイナミクスを追求したデザインを採用する。前面空気抵抗を示すCd値は0.29とした。これにより、エネルギー消費が削減され、航続を拡大する。

欧州での発売当初、全長4712mm、ホイールベース2988mmの標準ボディが導入される。2988mmのホイールベースは、フォルクスワーゲンの内燃エンジン搭載の主力商用車の『T6』比較として、2mm違うのみ。一方、T6の全長4904mmに対して、ID. Buzzカーゴの全長は192mm短い。これにより、T6と同様の室内長を維持しながら、より小さな駐車スペースに停めることができるという。また、ID.Buzzカーゴの全幅は1985mmで、『T6』よりも81mmワイドだ。全高は1938mmで、T6の全高1970mmと比較して、およそ30mm低くしている。

後席がなく、乗車定員は前席がセパレートの場合は2名、前席がベンチシートの場合は3名となる。前席と荷室の空間を分ける固定式のパーティションが装備される。このパーティションには、前席から荷室が確認できる窓ガラスが付く。ID.Buzzカーゴは3.9立法mの荷室容量を備えている。荷室フロアには、欧州で一般的な貨物規格の「ユーロパレット」を2個、横方向に積載し固定することができる。

◆「Car2X」による警告システム
最新の先進運転支援システム(ADAS)を搭載する。そのひとつが、「Car2X」による警告システムだ。他の車両や信号機などのインフラストラクチャから得られたデータを利用して、進行方向の危険をリアルタイムで検知し、その情報をドライバーに送信する。

また、自動ブレーキシステムの「フロントアシスト」も標準装備した。フロントアシストは、全速度域において、レーダーで前方の車両との距離を検知。衝突の危険が予測される場合には、制動距離の短縮化を図るため、ブレーキ圧を高めてスタンバイ状態を保持するとともに、ドライバーに警告音と警告灯による注意喚起を行う。その際、ドライバーが回避操作を行わない場合には、システムが自動で車両を減速させて衝突の被害を軽減する。

オプションで、スウォームデータを活用した「トラベルアシスト」が選択できる。これにより、高速道路での車線変更を含めて、全速度域で部分的な自動運転を可能にする。また、以前に走行したルートのデータを保存して、自動駐車の際に活用するメモリー機能を採用している。

◆バッテリーの8割の容量を30分で充電可能
フォルクスワーゲングループの新世代EV向けのモジュラー車台「MEB」をベースにする。そのアーキテクチャは、ソフトウェアとテクノロジーのさらなる開発を可能にするという。ID.Buzzカーゴは将来、無線アップデートによって車載のソフトウェアとテクノロジーを進化させていく。

モーターはリアアクスルに搭載する。最大出力201hp、最大トルク31.6kgmを引き出す。最高速はリミッターによって、145km/hに制限される。バッテリーはリチウムイオンで、蓄電容量は82kWh(正味容量は77kWh)とした。1回の充電での航続は、最大で424km(WLTPサイクル)。急速充電を利用すれば、バッテリーの8割の容量を充電する時間は、およそ30分で済む、としている。

フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》 フォルクスワーゲン ID.Buzz カーゴ《photo by VW》