住友ゴムとトヨタによるウエイブベイスを活用した実証実験《画像提供 住友ゴム工業》

住友ゴム工業は4月12日、トヨタ自動車の材料解析クラウドサービス「ウエイブベイス」を活用し、ゴム材料開発における解析時間を100分の1以下に短縮することに成功したと発表した。

ウエイブベイスはトヨタが実証実験中のクラウドサービス。「解析に多大な労力がかかる」、「解析技術が属人的である」、「データが点在している」など、材料研究・開発における課題解決を支援する。ウエイブベイスでは、データ活用コンサルティングの提供を通じて、実験・計測データの自動前処理・特徴量抽出とデータ管理基盤を利用者ごとにカスタマイズ。開発プロセスに溶け込んだストレスの無いデータ活用を実現する。

住友ゴムでは、かねてより大型放射光施設「SPring-8」、大強度陽子加速器施設「J-PARC」、スーパーコンピュータなど、世界水準の最先端研究施設を活用した材料開発を行ってきた。計測技術の進化や装置の高度化によって、短時間で大量のデータの取得が可能となる中、重要な情報になり得る材料中のわずかな変化に至るまで余すことなく解析することが求められるようになってきた。一方トヨタでは、同社が持つ自動車に使われる材料開発のために培ってきたデータ処理技術を応用した、様々な材料解析サービスの展開を検討していた。

そこで住友ゴムはMI(マテリアルズ・インフォマティクス)による解析力のさらなる向上と、研究開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的とし、2020年6月よりトヨタと共同で実証実験を開始。ゴム材料開発に重要な先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化することで、今回解析時間を100分の1以下に短縮することに成功した。

今後、住友ゴムではウエイブベイスを活用し、最先端実験施設での現場でリアルタイム解析を行うほか、さまざまな実験室系分析装置で得られるデータを統合し、ビッグデータとして解析することで、研究開発の効率化・高速化・省力化に繋げていく。また従来は気づくことができなかった新たな着眼点を得ることで、独自の材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」を進化させ、さらに安全性能と環境性能を備えたタイヤの開発を目指す。

ビッグデータ化に伴う課題《画像提供 住友ゴム工業》