GMの新世代EV専用工場「ファクトリーゼロ」で生産を開始したGMC ハマー EV《photo by GMC》

GMのGMCブランドは12月17日、『ハマーEV』(GMC Hummer EV)の生産を、米国ミシガン州デトロイトの新世代EV専用工場「ファクトリーゼロ」で開始した、と発表した。

およそ10年ぶりの復活となるハマーは、GMCブランドのEVピックアップトラックとして登場した。パワフルなEVパワートレインを搭載する高性能ピックアップトラックになる。

◆3モーターで0〜96km/h加速3秒
米国仕様のハマーEVには、4タイプが用意される。このうち、今回最初に生産を開始したのが、エディション1だ。エディション1に続いて、2022年秋に発売予定なのが「3X」、2023年春に発売予定なのが「2X」、2024年春に発売予定なのが「2」となる。

4タイプのハマーEVの中で、最も強力なのが、エディション1だ。エディション1には、3モーター+4WDの「e4WD」システムを搭載する。このシステムは、トルクベクタリング機能を備えており、最大出力1000hp、最大トルク1590kgmを獲得する。0〜96km/h加速は、およそ3秒の性能を可能にしている。

0〜96km/h加速およそ3秒の性能に貢献しているのが、「Watts to Freedom」と呼ばれるハマー独自のローンチコントロールモードだ。Watts to Freedomモードを選択することにより、EVパワートレインシステムの1000hpのパワーをフル活用し、加速するという。Watts to Freedomの準備段階では、インタラクティブコントロール、BOSE製スピーカーからのユニークなサウンド、アニメーション画面などにより「カウントダウン」の感覚をドライバーに伝える。走行安定性を高めるために、車高もおよそ50mm下がる。

◆1回の充電での航続は最大563km
ハマーEVは、GMの新世代EVパワートレインの「アルティウム・ドライブ」をベースにした最初のモデルだ。中でも、「アルティウム・バッテリー」は、大容量のパウチ型セルをバッテリーパック内で垂直にも水平にも積み重ねることができる方式を採用した。これにより、エンジニアは各車両のデザインに応じて、バッテリーの蓄電容量やレイアウトを最適化することができるという。アルティウム・バッテリーの蓄電容量は、50〜200kWhと幅広い。

ハマーEVの場合、航続が最も長いのは、エディション1となる。エディション1の予想航続は、最大563km。3Xと2Xは予想航続が最大483km、2は予想航続が最大402kmとなる。

エディション1のバッテリーの充電は、800ボルトのDC急速充電に対応する。出力350kWのDC急速充電ステーションを利用すれば、160km走行分のバッテリー容量を、およそ10分で充電することができる。

◆エディション1はすでに予約完売
エディション1は、オフロード向けの「エクストリーム・オフロード・パッケージ」が標準装備されている。18インチホイール、35インチのグッドイヤー「ラングラー・テリトリーMT」タイヤ、アンダーボディアーマー、ロックスライダー、アンダーボディカメラがセットされている。

このハマーEVのエディション1の量産第一号車が、米国で開催されたバレットジャクソン・スコッツデールオークションにおいて、250万ドル(約2億8360万円)で落札された。エディション1の11万0295ドルの新車価格に対して、22倍以上の高値落札となった。

オークションの収益の全額は、米国で退役軍人を支援する活動に取り組んでいる「トンネル・トゥ・タワーズ財団」に寄付される。なお、エディション1は米国で予約完売したが、現在、3X、2X、2の3モデルの予約は受け付けている。

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